第35話 〜シーファング カイ視点〜

 短めです。

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「リーダー…ごめん…」

「気にすんなって! 俺はシーファングのリーダーだぜ? お前達の面倒を見るのが当然だろ?」


 病院のある一室。カイはシーファングのメンバーの看病を行なっていた。


「本当に…すみません」

「コク…」

「だから…気にすんなって言ってんだろ?」


 俺は笑って仲間の着替えを手伝う。


「でもお金がないんじゃ…」

「金の事なら心配すんな、当てがある」


 俺はそう言うとまた仲間達に笑い掛け、心配させない様、促した。




「はぁ。まさかこんな依頼を受けさせられるとは…」


 そしてカイは1人、街のベンチである紙を広げる。その紙は縁が金で縁取られている豪華な装飾がさせられていた。


「いや、やるしかないのか…」


 そこには公爵からの指令が書かれていた。




『アスティラ公爵家、元料理長ゴルドフ・アフェードを連れてくる、または息の根を止める事』




「何でこんな事を俺が…しかも行き先を調べたらアソコなんて…」


 俺は大きく溜息を吐くと、ゴルドフの情報を書き留めたメモ帳を広げた。




『ザルドル』




 ザルドル。草木が生い茂り、自然が美しい街と言われる場所。


 しかし、自然が大いに残ってる為か、強靭な魔物が多く生息する"自然の洗礼"とも呼ばれる場所であった。


 魔物の平均ランクはA〜B。


 カイにとっては地獄に踏み入れる様な行為だった。


「でも…行かなきゃ金もない…この紙を受け取った時点で俺はアスティラ公爵家から逃げる事は出来ない…」


 カイはゆっくりとベンチから立ち上がると、準備を進めるのだった。

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