第8話

梨沙子は29歳の時、当時付き合っていた彼にプロポーズされた。


友人の紹介で知り合った同い年の彼とは1年付き合った。


彼の転勤に伴いついて来てほしいと言われた。

ついて来てほしいと。


ごめんなさい、ついてはいけないと。

彼は分かったと言った。


そして、そのまま彼とはなんとなく連絡を取らないまま関係が終わった。


遊びを知っている、常に刺激を求めている彼との時間は楽しかったが、落ち着ける関係ではなかった。


でもそんなのは関係なかったのかもしれない。


梨沙子自身、仕事のこと、結婚のこと、将来のこと、自分の人生に自信を持てないでいた。


それから自分の人生のこと将来のことから少し目を背けていた。


他のことに目を向けて、少しずつ自分の生活を楽しめるようになって2年、そんな時に出会ったのが健二だった。

                                                                     

(続く)

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