22 こたつの魔力

 本格的に寒くなってきました。そろそろ雪が降りそうです。


 ブッチャー団? あの人たちは……悪魔たちの餌になりました。っていうのはさすがに嘘です。悪魔たちは普通に美食家ですからね、かなり食事に拘ってます。ちなみにアーさんの好みは野菜中心の食事です。


 話を戻して、ブッチャー団のみなさんには働いてもらってます。ルールーを怖がらせ、私たちに攻撃しようとした罰です。罰と言っても辛い労働など特にないので、普通に働いてもらってます。

 

 団長の金髪は未だに反抗してますが、ほかのみなさんはここが気に入ったようで居住を希望していると聞きました。そこら辺はエルフのシルフィに任せてます。


 最初は気づきませんでしたが……シルフィ、かなり変わった性格をしているんですよね。


 強制労働を提案したのも彼女ですし、最近の趣味は金髪を虐めることだそうです。


「うー、寒いです。こたつが欲しいですね」


 ブッチャー団のことよりも、冬が近づいてきてることが問題です。悪魔はともかく、人間にとって冬はなかなか厳しいものですから。


「ということでこたつを作って貰えませんか?」

「もちろんでございやす! あっしに任せてくだせぇ!」


 ルールーがつれてきた人間の中にいた家具職人の所に来ましたが、私が頼むと速攻で取り掛かってくれます。ルールーの連れてきた人達はみんなこんな感じです。

 最初はかなり困りましたが、慣れました。有難いことですし。


「じゃあ、頼みます」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「おお! こたつです!」


 数日後、我が家にはこたつが出来ていました。さっそくスイッチをいれて……あれ? スイッチどこです? あ、魔力を流すんですね。


「ふわぁ……ぬくいです……」


 一度入ってしまうと抜け出せません。今日は一日ここにいる気がします。

 コタツでうとうとしていると家の扉が開いた音が聞こえます。誰でしょう?


「なにやってるのだ主よ」

「フェンですか、こたつです。フェンも小さくなって入ってみては?」


 今の大きさだと少し大きすぎます。小さくなってください。

 フェンは素直に小さくなって、そのまま私の膝元にちょこんと座って丸くなります。


「可愛いですね、もふもふです」


 フェンもこたつの良さに気づいたのかすぐさま寝ます。相変わらずですね、仕事もしていますがフェンはかなり寝ますから。


 再びフェンと一緒にぬくぬくタイムです。ですが……飲み物とおやつが欲しいですね。


「マーガレット、いるか?」

「アーさんですか。どうぞー」


 外の寒い空気と共にアーさんが入ってきます。うぅ、寒い。こたつに肩までつかりましょう。


「何をやっているんだ……」

「こたつにくるまってます。アーさんこそ、どうしました?」


 そう言うと、アーさんは両手に持ったものを見せてきます。

 おお、それはブッチャー団が持っていたお酒に、エルフが作ったおつまみじゃないですか!


「しばらく、酒など飲んでいないだろう? 1杯どうだと思ってな」

「さすがですアーさん、飲みましょう!」


 お酒に強い訳ではありませんが、酔った時のふわふわ感は好きです。ぜひとも飲みましょう。


「では、乾杯です」

「乾杯……美味い」

「美味しいですね、あまり酒精も強くないですし。といいか悪魔ってお酒飲むんですね」

「高位になればなるほど食に対する興味が深くなるものだ」


 なるほど、通りで最近悪魔たちがグルメになってきてるはずです。


「悪魔たちは最近どうですか?」

「元気だ。魔界にいた時とは比べ物にならないほどな。最近のブームは料理コンテストを行うことだそうだ」


 料理コンテストで盛り上がる悪魔……御伽噺だとしても信じてもらえなそうです。


「家畜を探しに行った悪魔さん達は元気ですか?」

「そやつらも元気だ。魔界でかなり戦闘経験を詰んだのか超級悪魔として恥じぬ強さをみにつけたそうだ」


 家畜探しをやってくれてるのかどうかなんとも言えない評価ですね。


「んー、景色が回ってきました」

「飲む勢いが早すぎるのだ、ほら、水を飲め」


 うーん、酔いが回って気持ちいいです。アーさんは優しいですね。いつもありがとうございます。


 酔いましたが、まだ飲みます。ここからがお酒の楽しいところです。あ、ほら、家の前を通ったシルフィとルールーも巻き込みます。


 バレンタイン? あなた……子供ですけど歳的には行けるのですか。魔界の生命は長寿で中身の成長は早いと。まぁいいでしょう、一緒に飲みますか。


 どんどん人を巻き込んでいった挙句、なぜか宴になってしまいました。どんちゃん騒ぎです。


 たまには、こういう日があってもいいでしょう。

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