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「む? 人間か。くはは! 人間に守られる魔狼など、いてたまるーーぬぉ?!」
おしいですね。魔力の塊をぶつけようとしたのですが。
「避けましたか」
「避けるわ! 当たったら痛いどころか消滅するほどの魔力だったぞ!」
ちびっこがぎゃーぎゃーと騒いでます。まったく、大袈裟ですよ。少し魔力を込めただけです。
「主……」
「大丈夫ですかフェン。エルフの人も」
「大丈夫だ。それよりも主、あれば魔界の実力者、魔槍姫だ。戦って勝てる相手ではない、逃げよう」
フェンが珍しく弱気です。尻尾も下がっています。よくみれば、鼻の当たりから血も出ていますし、あちこち傷がついてるじゃないですか。
「ぬ、主……? これは、暖かい……」
「私の魔力です。フェンはそこで休んでてください」
聖女ですから、傷を治すのはお手の物です。ついでにフェンとエルフの人を守る結界も貼りました。
「さて、ちびっこ。泣かされる覚悟は出来てますか?」
「ふん、少し魔力があるからって調子に乗るな人間! 私は魔槍姫だぞ! お前など……これですり潰してやるわ!」
そういってちびっこは沢山の槍を浮かべます。ちびっこにしては上手な魔法です。まぁ、関係ないですけど。
「喰らえ!」
「子供は好きですけど、フェンを傷つけ、エルフを怖がらせたのはだめです」
「なっ、全て受け止めた?!」
「おしおきです。ちびっこ」
受け止めた槍を、私の魔力で塗り替えます。するとあら不思議、槍は全部私の支配下になりました。
「や、やめ……」
死にはしないでしょう。フェン曰く、強いらしいですし。
「おりゃ」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ?!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ずびばぜんでじだ……」
「謝るのは私にじゃないですよ。フェンに謝ってください」
「ごめんなざぁぁぁぁぁい」
有言実行、泣かせました。槍を跳ね返しただけでは泣かなかったので、色々とやった結果、泣きました。
「えげつない戦いだったな……出した槍をすべてへし折られるとは」
途中でアーさんも駆けつけてくれました。やっぱり優しいです。
「しかも、最後には素手で魔槍を折ってたからな……あれは心が折れる」
「フェン、改めて大丈夫ですか? どこも怪我してません?」
「大丈夫だからモフモフするのをやめてくれ」
「拒否します」
やっぱり、戦うのはあまり好きでは無いです。フェンやアーさん、エルフのみんなを守るためならいくらでも戦いますが、やっぱり私はこうしてモフモフしてるのが一番です。もふもふー。
「ぐすっ……私はどうすればいいんだ?」
「魔槍姫か。喧嘩を売る相手を間違えたな」
「#悪魔公__デーモンロード__#か……、なにあの人間。異次元すぎる……ぐすっ」
アーさん、ちびっこと仲良くなるのが早いですね。というかちびっこはどういう目的でここに来たのでしょうか。
「何はともあれ、解決です。さぁ、戻りますよみんな。私はお腹がすきました」
運動しましたからね。お腹がすきました。
「マーガレット、魔槍姫はどうする?」
「泣いてるちびっこを放置するのもあれですし……とりあえず連れて帰りましょうか」
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