第14話 オムライス彼氏 (3日目)

彼女は小説を閉じて僕を見た。不意に彼女に見られて、僕はとっさに目を逸らした。自分から彼女にくっついたので、見られると恥ずかしい気持ちになった。

「なんでくっついてくるの?」

意地悪な質問をされた。彼女はにやけながらぼくに「なんでなんで?」と聞いてくる。僕は枕に顔を埋めて黙りこくった。

「恥ずかしいんだ〜」

また嫌なことを言ってくる彼女であった。僕はその場から逃げ出すためにシャワーを浴びてくることにした。

「シャワー浴びてくる!」

僕は起き上がってバスタオルを持ってお風呂場に向かった。お風呂場は僕が一人で暮らしていた時よりも綺麗だ。僕は一人で暮らしていた時、お風呂場は5日に1回程度しか掃除をしていなかった。彼女が来てからは彼女が毎日掃除をしてくれているので、お風呂場は常にとても綺麗である。僕はそんな綺麗なお風呂場でシャワーを浴びた。今日の疲れをすべて洗い流せるような感じがした。僕は髪をブリーチしていて、その上から髪を染めているため、髪の黄色みを抑えるために紫シャンプーというものを使っている。紫シャンプーは、通常のシャンプーの後に髪に塗布して10分ほど待たなければいけない。僕はその時間、お風呂場でスマホをいじって時間を潰している。僕のシャンプーやリンスだけでお風呂場のシャンプー置きは埋まっているのに、彼女のシャンプーなども置いてあってぎゅうぎゅうである。僕は紫シャンプーを落とし、普通のコンディショナーを付けてそれを落とし、その後に紫トリートメントを付けてそれを落とした。染めた髪の色を維持するというのは本当に面倒なことである。やっとの事で僕はシャワーを浴び終えてお風呂場を出た。キッチンで彼女がお茶を飲んでいた。

「いつまでお風呂入ってるの」

「大変なんだよ、ブリーチしてると」

「へぇ〜」

彼女は髪を染めていない黒髪ロングだから、髪色を維持する大変さを知らないんだろう。彼女の茶髪などを想像してみたが、黒髪が一番似合うなと思った。

僕達はベットの上でしばらくテレビを見ていた。

「お腹すいた〜、料理作って」

彼女にそう頼まれた。僕達は今日食べ歩いていたのでこの時間まで夕食を食べていなかった。

「わかった」

僕は立ち上がってキッチンに行って、今日の料理を考えた。きょうはオムライスにしよう、簡単にできるし。

僕は手早くオムライスを作った。オムライスは料理の中では比較的簡単に作れる部類に入る。

僕は完成したオムライスをテーブルに運んだ。

「いただきます」

僕達は横並びでオムライスを食べた。

「オムライスってこんなに美味しく作れるんだ」

彼女は僕のオムライスの出来栄えに驚いていた。僕は彼女の褒め言葉を聞いて、これからよ料理を頑張って作っていこうと思った。1人のときは自分のために頑張って料理しても、どこか寂しい感じがしていた。褒めてくれる人がいるだけで、人のやる気は跳ね上がるものである。人のために頑張るというのも、大きな原動力になるのかもしれない。

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