彩待ち 言の葉一夜

桜雪

第1夜 美容師


「で、その彼女さんとどうなったんですか?」

「いや、1か月ほど連絡すらとってないんだ」

「え~可哀そうですよ」

「うん、まぁそうなんだけどね…」

「寂しくないんですか?」

「一人でとる夕食は寂しいと思うかな…」

「でしょうね」

「で、今日は僕で最後なんだろ、夕食に付き合わないか?」

「え~、私、人妻ですよ」

「知ってるよ…そのうえで誘っているんだけどね」

「う~ん…」

「軽く考えてよ、営業だと思ってさ」


……

「ごちそうさまでした」

「いや、久しぶりに楽しい夕食だったよ、ありがとう」

「んっ…ダメ…ですよ、こんなところで…」

「違う場所なら?」

「怒りますよ…んっ…ダメですったら」

「ほらっ…キミの手が僕のセットを乱してしまった…直してよ」

「直せって言われても…」

「あそこで…直せるよ」

「そんな…ホテルで?」

「キミは美容師だろ? 営業中だしさ」

「ずるい…んっ…もう…」


                            Fin

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