第7話 子供大人のお話

これは、今とは少しだけ違う世界線を進んだ世界のお話


▒▒「あー、大人になんかにたくねーな。」



▒▒▒「大人なんて何が楽しいんだろう。毎日同じことばかり繰り返して、心も体もすり減るだけなのに。絶対子どもの方が楽しいのに。」



▒▒「さぁ?けど子どものままで居ることができるならどんなにいいだろうな?」


2人の『子供』はそう言って路地裏に消えていった…






――テレビニュースにて――


記者「成人をすぎても子供のように我儘だったり、社会的な常識に欠けた大人である『子供大人』が社会問題となって早10年。未だに増え続ける『子供大人』への対策はどう考えていらっしゃるのでしょうか。」


政治家「えー。我々としましては『子供大人』に対する対策として<子供大人教育法(仮)>といった法律等の制定を考えている所であります。この<子供大人教育法(仮)>とは『子供大人』を再教育する施設を作り、そこに『子供大人』を収容することで、『立派な大人』へと作り替えることを目的とした法律です。」


記者「その法律は人権侵害等の問題にならないのでしょうか。」


政治家「我々としましてはそうならぬように慎重かつ大胆に考える予定です。」


記者「では、ありがとうございました。」

―――――――――――――






▒▒ 「ははっ、この法律が決まったら俺ら俺ら再教育されるかもな」


▒▒▒「笑い事じゃないよ▒▒君。第一こいつらの言ってる『立派な大人』ってのがきな臭すぎるよ。」


▒▒「はっ、いーじゃねーか▒▒▒。政府のヤツらは俺らをとっ捕まえること所か発見することすら出来てないんだぜ?再教育なんてまず無理だよw。」


▒▒▒「そうだといいんだけど…」


▒▒「俺たちは『子供大人』らしいからそんなこと気にせずにもっとやりたいようにやりゃいいんだよ。どうせ大人は自分らの都合のいいようにしか物事を解釈しないんだから、俺たち子どもはもっと好きにやってもなんだよ。」


▒▒▒「そうなのかなぁ…僕はこれ以上他の人に迷惑かけるのは気が引けるなぁ…」



――○○市警察署 会議室にて――


「あの二人組の『子供大人』はどうにかならんのか!!今月三件目だぞ!うち一件はうちの市の交番にロケット花火を打ち込まれたのになぜ捕まえてない!!」


「そ、それが…直ぐに逃げるようでして…(じゃなきゃ被害件数五百件、推定被害総額二億五千万円超えてねぇよ)」


「だからなんだ?大人になることの出来なかった『出来損ない』の一匹や二匹捕まえることが出来ないのか?」


「誠心誠意頑張らせていただきます!(テメーが自分で頑張れよ)」


「宜しい、出て行きたまえ。」


「はっ(もう三年以上逃げ続けてんだから無理だろ)」






――数年後のニュースにて――


司会「本日、○○市中心にをX年に渡って迷惑行為を行っていた『子供大人』2人組である▒▒と▒▒▒が捕獲されました。2人組は通りすがり通行人らによって取り押さえられたとの事で、取り押さえた通行人は「迷惑だったから取り押さえた。ただそれだけ。」とのことです。2人組は<子供大人再教育法>に基づき○○市子供大人再教育センターに収容され、『立派な大人』へと再教育される予定です」


――――――――――――――




「良かったわ、あの子たちにはほんとに迷惑してたのよね。」



「そうね。これで真夜中に変な音が流れてくる心配も買い物行く間に車をトイレットペーパーでぐるぐる巻きにされる心配も無いのね。」



「そう考えると警察は今まで何をやってたのかしら。」



「警察が頼りないのは今更じゃない」


「「アッハッハッハッハッ。」」


「その通りね。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る