十月三十二日:投票
【投票開始】
【投票結果の結果、本日の処刑は『吹奏楽部』に決定しました】
「何でだよ、他に投票すべきところがあるだろ!」
言い終わる前に『吹奏楽部』が膝を折り、頭から倒れた。重たい衝撃音に次いで、『保健委員』の悲鳴が響く。
床に横たわる『吹奏楽部』の瞳からは、光が消えていた。
『剣道部』がしばらく瞑目してから言った。
「みんな、明日に備えて部屋に戻ろう。俺は遺体を教会に運ぶ。手伝ってくれ」
視線の先にいた『元バスケ部』が溜息をつき、「わかったよ」と呟く。
「何とか生き残れたけど、これでよかったのかな……」
呟いた『編入生』の傍らで『先輩』は呆然とふたりに担がれて運び出される『吹奏楽部』の亡骸を見つめていた
「『先輩』?」
『先輩』は笑みを作って見せたが、顔は蒼白だった。
「あいつと一年の頃文化祭の実行委員をやったんだ。あんな風に言い方はキツいし、遅れてる奴には容赦ないから衝突も多かったけど……自分の部活に穴を開けないようにって、練習が終わってから仕事をこなして毎晩遅くまで残ってたよ」
空の椅子の上には折り畳んだ楽譜が残っていた。
「他人にも厳しいけど自分にも厳しい奴だったんだ。こんなことにならなけりゃもっといろいろ……」
『先輩』は口を噤んで顔を上げた。
「悪い、今する話じゃなかったな……また明日」
人気がなくなった部屋は寒々しく、窓の外の空の色だけが変わらないままだった。
生存者:十二名
占い結果:(○→人間、×→人狼)
『映研部』→『図書委員』○
『図書委員』→『文芸部』○
『生物部』→『文芸部』○
処刑投票結果:
『吹奏楽部』
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