【昌豊・1】リヤカーではなくフロントカー

 ちょっと見てみたい気もするがきっとこの世界線のアニメは駄作が多そう

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860630530111/episodes/16816927862635993924


 ◇ ◇ ◇ ◇


 1559年5月2日

 駿河国入山瀬城北方15町

 内藤昌豊



「中軍。川を渡りました。……堤防を越えます。敵陣まで残り2町」


 馬廻りの者が伝達して来た。

 嫌な所に陣を張るな。


 潤井川の支流から敵陣までおよそ4町。

 敵陣までの1町が戦場となろう。

 その後ろががら空きとなれば中軍の士気が落ちる。


 お味方が後ろにいるから安心して戦えるのだ。


 だから本陣も前進するように指示する。

 敵から4町ほどの所が良いのだがそこには川が流れている。

 それよりも前になれば中軍と団子状態となる。

 背水の陣でもある。


 また敵の大砲の餌となるかもしれぬ。

 むやみやたらと長柄の列を作ることは出来そうもない。

 しかしそれをせねば敵を後方へ押しやることは出来ぬ。


 先にあの大砲を潰さねば。


 騎乗して前進する。

 高い所から見る戦場は小高い起伏を利用した大胡の土塁が南西から東北へ連なっているのがよくわかる。


 勿論ギザギザだが台地の地形に沿っての土塁である故、その間隔は大きい。

 挟差するように射撃するには遠すぎる。


 2町はあろう。 

 うまく行くやもしれぬな。


「敵前にて牛車を組みたて開始しました」


 牛車。

 勿論、貴族共が使っていたものとは似ても似つかぬ。

 あの大胡の作った大胡車を引くための桟木を長くしたものだ。


 牛が引くのではなく多くの兵が後ろに付いた木の棒を長い桟木に手をかけて押して前進する。牛で押せれば相当なことが出来るのだが。


 前方には傾けた鉄板が2枚。

 全てを覆う鉄板だと重すぎてとてもではないが持ち運べない。

 故に短冊状に鉄板を作り、それを鎧のように重ねていく。


 今、その組みたてを敵から見えぬように矢盾で周りを囲み、幔幕も使い作業をしている。


 流石にこちらが何かをしているのか察したのか、敵の鉄砲が射撃を開始した。

 幸い矢盾で防げる距離だ。


 大胡の大砲配備は4門。

 その内街道筋の城に1門。


 それ例外の3門は弱点である、ジグザグな土塁の突端に配備されているのが確認されている。


 遂に完成した。

 前進を開始する。


 2つの牛車が敵の中心、凹凸の先端になっている場所に向かって動き出した。

 勿論、牛のように遅い。


 重いのだ。

 だがその重さが重要だ。


 幔幕から出て来たそれを見て敵陣がざわめく。


 大胡の物頭らしき者が指示をした。

 大砲が唸る。

 牛車を直撃。


 しかし二重の鉄板の外側が弾けただけで終わる。

 敵が再び動揺。


 敵の射撃が残りの牛車に集中する。


 これだ。

 この機会を作りたかった。


 伏せていた中軍の者共が一斉に立ち上がり、突撃を開始する。


 敵の射撃はまばら。


 調べでは1間に2名程度しか配備できぬ兵しかおらん。

 いくら射撃の腕が良くとも弾込めには時間が掛かる。

 既に斉射を終えた大胡にはこの突進を止める手立てはない。


 敵の事前に作られた堅固な防御施設。

 その内の鹿砦を排除するには多少時間と損害を伴ったが、鉄条網は板を渡して何とかなった。

 今、その向こうへと兵を流し込む。


 土塁は屋根が付いていると聞く。


 だがその向こうはがら空きだ。

 近距離ならば手槍が有利。

 そこまで行けば数の力で押し通せる。


「第1陣、土塁へ到着! 土塁上の鉄条網を破壊中」


 本陣も2町まで前進した。

 右翼と左翼も突撃態勢に入る。

 中軍が敵陣を突破したら、前に進みたいが左右に分かれる。


 殊に右。

 南の敵左翼の後背を衝く備え500。

 この働き如何だな。


 できるだけ潰走させてから討ち取る。

 北の大胡兵への抑えは500と、奪った大砲が使えればそれを使う。


 あとは敵本陣への抑えに500。

 こちらは無理をしないで防御に専念させる。

 そして味方左翼が前進するのを見て脅威と感じ、後退させればそれでよい。


 狙いは敵左翼のみ。

 この戦力を削ぐ。


 ただそれだけだ。

 残りは次の戦場で。


 無理はしない。

 徐々に徐々に追い詰める。


 それだけだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 同日同刻

 大胡大隊本部

 滝川一益

(正史ではどんな性格だったんだろう?)



 嫌な奴を持ってきたなぁ。殿さんが言っていた奴を作って持ってきやがった。恐れ入った。


 しかも1欣砲直撃にも耐えただと?

 多分2射目で粉々だろうが、問題は2基あることだ。


 これで兵が動揺する。

 また大砲が発射されても無駄に終わる。

 だから今のうちに潰すために銃撃を急いで全発撃てば隙が生まれる。


 そこを突撃か。


 来やがった。

 中央は選抜狙撃兵に対応させる。

 ここには是政んところの優秀な奴をかっさらってきた奴らが10名程いる。


 1人5丁用意したから相当狙撃できるだろう。

 当分は持つ。


 さて。こちらも後ろで控えている本隊を中央に持って行くしかないか? 

 左右どちらかを手薄にしないとな。

 予定通り左翼の第4中隊を後退させるか。


 どうせ敵は中央突破した後、俺を狙いに来ないで左翼を包囲してこちらの兵力を東西に分断させに来るだろう。


 その方が楽でいい。一気に決戦する必要はない。


 こちらの第2防御線は東の山地帯にある。

 これはまだ気づかれていないだろう。

 普通はそんなことしないだろうからな。


 素ッ破の頭にも細工は頼んでいる。

 俺は腰かけていた床几から勢いよく立ち上がり本部全員に聞こえるように叫んだ。


「よし! 引っかかった。

 各中隊に信号を送れ。左右に逃げよ。真ん中の第2中隊は頑張ってもうひと踏ん張りしてもらう。敵が飲み込む疑似餌になってもらおう。

 大剣があると気が楽だな」


 中央の第2中隊が布陣する土塁上で鉄条網を破壊しようとしている敵を手にした鉄砲で倒した後、銃口から漏れ上がって来る硝煙をフッと吹き払いながら、次の弾薬を装填した。


 どっちが戦力をどれだけ削れるとか、昔の戦とは全然違うな。あちらも寄せ集めなのによく機能する組織を作っている。


 強敵だな。



 地図です

 https://kakuyomu.jp/users/pon_zu/news/16816927862666711917



 🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸



「深夜アニメ」


「なろう系」のCM枠?

 こ、この世界線にもWeb小説がある。

 どんな作品たちだろう? 


 戦国ファンタジーはきっと信長が覇王になって天下一統をする「ファンタジー小説」なんだろうなぁw





「中軍」


 あ、しまった。先手もしくは先鋒だったか。


 まあいいや。

 こっちでは文句は出ない筈。

「なろう」様では確実に訂正を求められる案件w





「背水の陣でもある」


 単に偶然の産物。

 ちょうどそこに等高線で確認できた崖があったから!





「牛車」



 いったいどんだけ重いんだろう?

 4kgの丸弾当たって耐えられるとかw


 多分、武田お得意?のスペースドアーマー。

 壊れることで損傷を軽減している。





「鉄砲の射撃間隔」


 一時的に大胡では鉄砲の方が兵員よりも多くなっていた。

 しかし改良型が逐次投入され始めると部品供給が間に合わなかった。

 つまり楓1号の部品では楓2号の発射には耐えられないという。





「敗北した兵の組織化」


 負け癖が付くと言いますが、これは真実。


 現在行われている某国と某国との戦争では、北の某国が南の首都を攻撃したけど敗退し、その兵を再編したけど士気が上がらず戦力にならず。


 あの国お得意の囮部隊として突っ込ませて敵の防御地点を探してから一気に狙い撃として叩いているとか。


 この作品にも垪和さんちの戸田君の兵が鉄人隊を見て、一気に崩れたシーンを書きましたが、

 一回恐怖を味わうと同じ状況に陥った人間は弱いですね。


 PTSDか?


 武田も敗北している兵が混じっているのか?





「中央突破を利用する」


 中央突破って結構派手だけど危険ですよね。

 周りは敵ばかり。

 後方に余力を残した敵予備兵力が控えていれば包囲殲滅される。


 関ヶ原はどうだったんだろう? 

 家康の旗本は3万居た。

 もしシーマンズを先頭に立てての突撃をしても中央突破で囲まれておしまいとなっていたのか?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る