【忍城・4】遂に秋山好古が憑依したw
1559年4月下旬
武蔵国忍城北西方半里(2km)
吾妻幸信
また酒飲んるなぁ。
これから戦だというのに。
よく頭が回るもんだ。
机上演習はもとより実戦形式での演習でも、俺は勝ったことがない。
勝負して勝ち越せるのは殿くらいなものだと言っていた。
まあ安定した作戦指揮ならいいが、普通の奴なら伸びている酒量だからな。
奥方の咲殿に頼まれたように、あまり飲み過ぎないように見張っておかないとな。
「旅団長。もう飲むのをやめてください。すぐ行動開始です。酔っぱらって指揮を間違わんでください」
これから実戦の前にはきちんと釘を刺さないといかんな。
皆に言っておこう。いつも俺がいるとは限らないからな。
旅団長は携行していた皮袋に入っていた大量の水を頭からかぶった。今はまだ暖かいからよいが、冬の時はどうするのだろう?
「よしっ!
第4大隊は敵中軍右翼を拘束。第2第3大隊は俺に続け。
左回りで敵左翼を包囲殲滅する。
馬上射撃許可。
4連射の後騎兵突撃。
先頭は槍装備。敵陣に風穴を開けた後、後方へ出て兜首を狙え。
次鋒は長巻装備。穴を広げよ。
第1大隊は慎重に湿地を踏破。敵後背に出て中軍を脅かせ。
無理はするな。
退路が経たれたら忍城へ逃げ込め。中軍には突撃するな。
遠くから丸弾を撃ち込むだけでよい」
旅団長の指示に
応!
と皆が反応する。
これだけ離れていれば聞こえはすまい。
もし聞こえても忍びよりも素早く機動すればよいだけのこと。
対応できる敵はまずはいまい。
たとえ軍神と言えども無理だ。
あとは臨機応変。
指揮系統がどれだけ維持できるかの勝負。
これで大胡に勝るものはいまい。
その大胡でも一番の練度を誇る、この竜騎兵が捕まるかよ。
面白くなるぞ、おい。
俺の第1大隊は本隊と別れを告げて、敵後背へ向かった。
地図です
https://kakuyomu.jp/users/pon_zu/news/16816927860881924044
◇ ◇ ◇ ◇
東雲尚政
彼奴、大丈夫か?
大隊長になって2度目の実戦指揮だ。先程は見事な指揮ぶりだったが、兵員が5倍になったのだ。指揮系統を把握できているのか?
見るからに浮かれている。
自信があるのはいいが、敵を甘く見てはいかん。
用心に越したことは無い。そう念を押そうとしたが既に大隊の先頭に立って進軍した後であった。
流石に、この包囲作戦は見ぬかれてはいまいが、臨機応変に陣形を変えて第1大隊を殲滅する作戦に出るかもしれん。
その時の策は……。
何手か考えておくが、その時にならねば分からん。
まずは敵左翼を壊乱させることに注力するしかあるまい。
たとえ罠だとしても食い破るのみ。
サッと打ち破りサッと引く。膠着状態を避ける方法だけ残しておけばよい。
俺は2個大隊を本隊として、敵左翼へ向かっていった。
🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸
今日の小話のテーマは、既にエッセイに書いてあるものとダブります。重要なので2回書きます^^;
この作品の主人公は「大胡政賢」ではありません。
【大胡というモノ】です。
そしてテーマは【日本国の成立】です。
更に新たに【今までにないタイプの英雄の誕生】です。
最初のエピソードのタイトルを
「【国民】の時代。日本国の誕生」
としました。
年配(?)の方々にはなじみ深い司馬遼太郎の傑作「坂の上の雲」と同じです。国というものが出来ていくときの人々の情景を書いていこうと思っています。
「司馬遼太郎」というペンネームは「司馬遷に遥かに及ばない」という意味で付けられたと聞き及んでおります。じゃあいったい私はなんじゃ? 1万年くらい遥か遠くにいるレベルの人とは比べられないけれど、タイプ・方向性は似ている、というだけ。ついでに変なもの(佐藤イズムやマンガ・ラノベ要素)が混じっているし。やっぱり全くベクトルが違うけど。
でも主人公は集団で、国家の成立過程を書いていくところだけは同じ。
英雄としての政賢は
「泣き虫弱虫で、単なるチート野郎。落ち着いているのはゲームのシステムのせいというだけ」
「背が小さく武力全くないけど統率力はある」
「その統率力も、この弱い大将は俺たちが守らねば。助けねばというやつ」
「今俺たちは殿を担いだ神輿を前へ進めば幸せが待っている」
「神輿の後ろには沢山の領民が付いてきている」
「神輿が通った後は整地され、他を歩くより楽だ。なので他からどんどん集まってくる」
「この神輿もっと軽くならんか?改良しよう」
という具合なのです。
全く今までの英雄像ではない。
そんな主人公(仮)へもしよろしかったらエールを送ってください。
きっと変なことして、皆さまを笑わせてくれることでしょう。
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