ホス狂は江戸時代に転生しても推し活を辞められない
今衣 舞衣子
第1話 さらば歌舞伎町
私は推しの真っ赤なスポーツカーに轢かれて死んだ。
最後に見た景色はフロントガラスから見えた推しの驚いた顔と助手席に座る涙袋ナメクジ女の顔だった。
その光景に、二度死にした。
けれど、推しに轢かれて死ぬなんて本望じゃん。ありがとう、私に沢山の幸せと絶望をくれて。来世では、もう推しは作らない。こんなにも沢山、誰かの為に費やしたんだから来世では自分に投資する。
そう誓った最後の日から、どのくらい経っただろうか。
私は新たな人生のスタートをきっていた。
着物を身に纏った女たちの前で痛マイクさながら声を上げていた。
「お前ら!若を将軍にしたいんだろーー?!だったらこんなんじゃ足りないよなー!?」
煽りまくっていた。前世の血が騒いでいた。何故かあるはずのないシャンパンタワーの輝きが見える。
ああ、やはり私は転生しても推し活を辞められなかった。
なんて懐かしい、快感なのだろう。前世では傍に、ほくそ笑むレンくんがいたけど今は、まだ汚ねぇ世界を知らない純潔の代名詞、次期将軍、いや。第三代将軍、徳川家光の姿が浮かぶ。
やはり私は江戸でも推し活に人生を捧げることにした。
ホス狂は江戸時代に転生しても推し活を辞められない。
〈注釈〉
ホス狂:ホスト狂い、ともいう。主な生息地、歌舞伎町。歌舞伎町の経済を回してる精鋭隊。自己投資<<推し、担当への貢ぎ。もはやマズローの五段階欲求、上位の自己超越を成してる存在とも言えよう。
涙袋ナメクジ女:涙袋にヒアルロン酸ぶち込みすぎた結果、艶めき煌めき半端ねぇ最終形態。
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