第29話

おばあちゃんは、厳格な感じのする人で。

それでも、もう足は弱ってるから

杖をついてた。


「あの時はありがと。本当に助かったわ」

「受験、遅れてしまってすまなかったね...」

「いえいえ、なんとか受かったので大丈夫でした...」


あの日。俺は

逃げるように別れてきた。


「あなた、名前は!?」


診察室まで届けて。

俺はその声を背中に受けたけど、、


「き、今日、高校受験なので

これで!」


と整形外科クリニックを後にしたんだ。

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