冬・三連作 蒼井 静様
【タイトル】冬・三連作
【作者】蒼井 静
【ジャンル】詩・童話・その他
【読んだ話数】読了
https://kakuyomu.jp/works/16816700428065128299
娘、母、父の順番で語られるとある家族の冬のお話です。
冬になると眠りについてしまう冬眠病。治療法不明のそれを患ってしまった母。母が眠りについている間娘を育てつつ、眠る母の面倒を見る父。まだ幼く、病気についてよく分かっていないものの父の楽しい嘘を信じ、春になったら母は目覚めると無邪気に信じている娘。
娘にとっての冬は母親が眠っている季節。
父にとっての冬は妻が無事に目覚めるのを祈りつつ、娘の世話と妻の面倒をみなければいけない季節。
母にとっての冬は目が覚めたら終わっている夢みたいな季節。
同じ家族といっても感じ方はそれぞれ。見える視点も、それに対する感じ方も違います。娘は母親が眠ってしまうのは寂しくとも必ず起きると信じているので心配することもなく春を待つことができます。けれと父は先行きに不安を覚え、母に関して気づけば一つの季節が終わってしまっていることに不安と恐怖を覚えます。
けれど冬眠の始まりが唐突であれば冬眠から目覚めるのも唐突です。そこでよかった。と思うだけでなく、切なさを感じる展開がこの作品の深みだなと思いました。
冬は冷たくて嫌いという人もいますが、それは冬が必ず来るとわかっているからです。もう雪を見ることも炬燵に入ることも、寒さに凍え人と手をつなぐこともできないとしったら、寂しい。そう思ってしまうのではないでしょうか。
頑張って作った雪だるまが次の日になったら解けて消えてしまう。そんな物悲しさとともに、もうすぐ春がやってくるという明るい気持ち。両方を思い出させてくれる冬に読みたい作品だと感じました。
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