あまりにも普通な一日

@nirvanadream

第1話 ファンファーレ

俺の鼓動は高鳴っていた。

今日は俺の気になる子とのファースト・デートだ。

スタイリストにコーディネートしてもらったし、ラノベも沢山読んだし、俺の準備に抜かりはない。


明るい日差しが俺に注ぎ込む。

まるで俺の記念日を祝福してくれているようだ。

マイハニー。俺の心まで焼き尽くしてくれ!


待ち合わせは駅前の時計台の下だ。

この駅では一番待ち合わせに適している。


彼女が来たら俺は右を向けば良いのか?

左を向けば良いのか?

どんな顔をすればいいのか?

そんな事を考えながら10分が経っていた。


ドクドク、ドクドク・・・

心の鼓動が止まらない。

俺は一体何を期待しているのだろうか?


ともあれ彼女はきた。

黒いハイヒールに茶のストレート。

笑顔の似合う女の子。

僕と目が合うとにっこりとほほえみ、話す。


「君が城ヶ崎くん?Tinderにいた人?」

「はっっ、はひぃっ!天使ちゃんですか?」

「そう私が天使よ。」

「かっ、かわひぃっ」

「なにきょどってんの?きっしょw」


ってな感じで彼女との第一印象は最悪に終わってしまった。

なんとしたことだ、あれだけ女の子と話す練習をしたのに。


とりあえず、街に繰り出す。

かわいい女の子と歩く街は表情を変える。


俺の女が羨ましいか、お前ら?

っていってみてーな。


何を話そうか考えていると、天使が一言。


「よくTinderやるの?」

「いや、初めてです」

「あっ、そう」

「・・・」

「あんたって、ほんとつまらないわね!なんか喋りなさいよ!」

「ひっ、ひぃっ!」


二人コツコツと歩く。耳を済ませる。


「なんで僕と会ってくれたんですか?」

「なんでって、かっこいいから」

「えっ、えっ?!」

「冗談w あんた童貞?w」

「んぐぐぐ・・・」

「ほんとのことをいうと、あんたの経歴がきになったのよ」

「経歴?」

「そう。あんたは物心ついた時から右乳首が外れていたってかいてたわよね?」

「うん。あっ、間違えた。はい!」

「それって、TKB一族の習慣なのよ」

「TKB一族?」

「そう。日本神話ってしってる?」

「うん。」

「日本神話よりも古い時代からの祖先。日本を作ったって言われてるわ」

「えっ、えっ!?俺が日本を作ったのか!?」

「あんたが作ったわけじゃないけど、あんたの祖先が作ったのよ」

「そっ、そうなんだ・・・かっこいい」

「それで、私は左乳首がないの」

「えっ、えっ!?」

「これはね、BKT一族の習慣なのよ。TKBに壊滅させられた。私はその生き残りなの」

「えっ!?えっ?」

「うん。それでね、私はあんたを殺しにきたの!」


その時、脇腹に生温かい感触を感じた。触ると赤い血糊のようなものが付着していた。

いや、目を覚ませ。これは血糊なんかじゃない。紛れもなく俺の血だ。

なんなんだTKBもBKTも。なんで俺は殺されなきゃいけないんだ?


意識が遠のいていく・・・


つづく



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