第23話 聖女騎士団 4

「な、ユウヤ殿……」


 と、そんな場面をリーナに見られてしまい、慌ててユウヤは背筋を伸ばす。


「あ……いや、大丈夫だよ。大体、いきなり来た俺の方が悪いわけだし……」


「そうだぜ、デカブツ。いきなりそんな大きいのが来たら誰だって驚くよな?」


「……クラリス」


 と、クラリスのその言葉に、リーナが鋭い眼光で彼女を見る。ステラもクラリスの方を見る。


「じょ、冗談だって……姫様も怒んなよ……」


 リーナとステラに睨みつけられて、クラリスはへらへらろ笑いながら取繕うように頭をかいた。


「でも……本当にいいの? 僕が入っちゃって?」


「ああ! もちろんだ! ぜひ、私達の力になってくれ!」


 そういって笑顔で返してくれるのはリーナだけだった。


 他の騎士団メンバーは好奇の目線、もしくは恐怖の目線でユウヤを見るだけだった。


 ……いや、平気だ。自分はこれまで人間と関わってこなかったんだ。それに比べれば多少邪魔者扱いされることぐらい、むしろ嬉しいことなんだ。


 ユウヤは心の底からそう思っていた。


「では、ユウヤ様の騎士団入団式を行いたいと思います」


 するとノエルがユウヤの前にやってきて、ユウヤに向かって、手を差し伸べる。


「……え?」


「手を」


「あ、はい」


 ユウヤはその小さな手に、自身の大きすぎる手を載せる。実際には指先だけをノエルに触れさせる感じであったが。


「ユウヤ。アナタをこれより、神聖ヴァレンシュタイン王国の騎士とする。以後、私のために仕え、戦うように」


「はい」


 なんだか本当にずっと昔に映画で見た、騎士の任命式でみたいで恥ずかしかったが、周りの雰囲気が至極真面目だったのでユウヤもなんとかそれに耐えた。


「はい。では、これで終わりです。ユウヤ様はこれで立派なヴァレンシュタイン王国の騎士となりました」


「……え? い、今のでいいの?」


「はい。これでアナタは私の騎士……つまり、聖女騎士団の一員となりましたよ」


 ニッコリと微笑むノエルにそういわれると、そうなのか、とユウヤも納得するしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る