第9話 魔剣士と【炎帝】候補②
キリヤはフレイナに連れられ、校舎の屋上へと来ていた。
「脅してまでこんなところまで連れてきて、一体なんの用なんだ?」
「……単刀直入に言うわ。『不死鳥』を私に譲ってほしいの」
「ほんといきなり何なんだ……」
フレイナは、真っすぐとした目でキリヤを見る。
その目は、何らかの意志が宿っている覚悟の目をしている。
キリヤも、それを感じ取り、
「……わかった。だが、選ぶのはこいつだぞ?こい『不死鳥』」
キリヤは、手を上に挙げ不死鳥を呼ぶ。
すると、ピェロロロという鳴き声とともに、赤い鳥が現れ、キリヤの肩に止まる。
そしてキリヤが命じ鳥は炎に包まれ剣の形に変化する。
「分かっているとは思うが、こいつはかなり危険だ。それでもやるのか?」
キリヤは剣を差し出しながらも脅すように言うが、フレイナは強く頷く。
「覚悟の上だわ」
フレイナは『不死鳥』を受け取る。
「おねがい。私を認めて、私に力をちょうだい」
『不死鳥』はフレイナ言葉を聞いてか、聞かずか、その刀身が燃え出す。
「っ!、あ、熱い。けど、これくらい!」
フレイナはさらに強く『不死鳥』を握りしめる。
それに合わせ炎がさらに強くなる。
「うっ、くっ。お願い、だから私を……」
「そこまでだ。『不死鳥』」
フレイナの腕にまで炎が至ろうとした瞬間、キリヤが『不死鳥』にストップをかける。
『不死鳥』はキリヤに従い、刀身から炎を消し、フレイナはその、手から『不死鳥』を落とす。
「はぁ、はぁ。どうして、私はまだやれたのに」
「膝をつきながら言うセリフじゃないな」
キリヤは『不死鳥』を拾いながら、横目で、自分を睨みながら腕を抑えているフレイナを見る。
「お前、腕にそんな火傷負ってまでやれるとか……」
「別に問題ないわ。これくらいの火傷、炎魔法を昔から教え込まれてきた私にとってよくあったことだもの」
フレイナはあくまで、自分はまだやれたと言い張る。
「そうか。……とりあえず腕を見せてみろ」
キリヤの突然の言葉に驚きつつもフレイナは火傷した腕をだす。
「少しじっとしててくれ。『不死鳥」よ不死たる力の一部をよこせ」
「え?!」
キリヤは自分の指を『不死鳥』で切り、血をフレイナの火傷に垂らす。
すると一瞬にして火傷した肌が元のきれいな白い肌に戻る。
「あ、ありがとう。それもその子の能力なのね」
フレイナは一瞬の出来事に驚きつつも感謝を伝える。
「あぁ。……あんなにこいつに固執してのに、この能力のことは知らなかったのか?」
キリヤはついでに俺のことを知っていたことも含めて説明してくれと、フレイナに要求する。
「そうね、分かったわ。少し長くなるけど……」
フレイナはゆっくりと話を始めた。
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