第4話 魔法使いVS魔剣士
キリヤとライデルトが勝負することになり、他のクラスメイトが離れている中。
「おい、剣士。ここは一つ賭けをしないか?」
ライデルトがキリヤに提案をする。
キリヤは少し考える素振りを見せながらも頷く。
「……いいだろう、乗ってやるよ。何を賭けるんだ?」
「俺が勝ったら、お前はこの学園から立ち去れ。魔力もなくて弱い者など、この学園に必要ないからな」
そんなライデルトの提案にキリヤはノータイムで頷く。
「いいだろう。それで、俺が勝ったら?」
「万が一にも有り得ないことだが。その時は、お前の命令を何でも聞いてやるよ」
ライデルトは自分が負けると微塵も思っていないようで、自信満々に宣言する。
「分かった。その条件で、さっそくやろうか」
「待て、口約束じゃ信用ならないからな……」
ライデルトは空に魔法陣を描く。
「これは、【契約】の魔法だ。ここに賭けの内容を記した。あとは互いにサインをすれば魔法の完成だ。……ちなみに、契約を破れば、破ったものは死ぬ」
ライデルトはニヤニヤとしながら、魔法を見せる。
「なるほど。随分、自身があるんだな」
「うるさいぞ剣士!さっさと魔法にサインしろ。それとも、逃げるか?」
ライデルトは魔法をキリヤの方に渡しながらも、挑発をする。
キリヤはそんなライデルトの挑発を物ともせずに、腰から剣を抜く。
「おい、お前何して!?」
「……『
一突き。
キリヤは剣で魔法を突き刺した。
「ほら、返すぞ」
「あ、お前ほんとに魔法陣に何を?」
ライデルトは魔法陣を見る。
その魔法陣に変わったところはなくしっかりとキリヤのサインはされていた。
「変わったところはないか。お前サインくらい普通にやれ!」
「なぁ、ライデルト。一応聞くがその魔法は絶対、なのか?」
起こるライデルトの言葉を無視してキリヤは鞘に剣を戻しながら尋ねる。
「絶対だ。【契約】の魔法は普通なら契約した内容が実行されるまで消えることはない。さっきも言った通り、破った場合は死ぬからな」
(ま、普通ならだけどな)
「そうか。ならいい」
キリヤはライデルトの言葉に満足したのか、自分の位置に向かっていく。
________
「これより、魔法学園一年生、ディルガス=ライデルトとキリヤの模擬戦を行う。二人とも準備はいいな?」
教師は、二人を見る。
二人は教師の言葉に頷き、準備が出来ていることを伝える。
「それでは、始め!」
教師の合図と同時に、まずはライデルトが仕掛ける。
「見せてやろう、そんな鈍らは時代遅れで何の役にも立たないと言うことを!【サンダー・ショット】」
ライデルトは、魔法陣から複数の雷をキリヤに向かって放つ。
対するキリヤは、
「………」
静止。
その場から動かず、じっとライデルトの雷魔法を見る。
そして、雷が近づいた瞬間に腰の剣に手を当てる。
「……『斬魔』」
一閃。
雷と交差する一瞬、目にも止まらなぬ速さで剣を抜き、振るった。その一度剣を振っただけで、全ての雷を斬り伏せ、雷魔法は跡形もなく消えた。
「なっ!?」
そんな一瞬の出来事にライデルトは言葉を失う。
(何が起こった!?まさか、あんな鈍ら俺の魔法を切ることなんて)
ライデルトはキリヤの剣を見る。
「何だ?あいつの剣、さっき【契約】の魔法陣に刺した剣と違う気が……」
「おい魔法使い、考え事なんてしていて良いのか?」
ライデルトはキリヤの言葉にはっとし、すぐさま次の魔法を放つ。
「うるせぇ!【サンダー・ボール】」
次に放ったのは球体状の雷。
(量で駄目なら質で勝負だ!)
そんなライデルトのそんな考えも虚しく、
「『斬魔』」
キリヤの持つ剣によって斬り裂かれてしまう。
「くっそ!なんだよ、その剣!【サンダー・ショット】」
ライデルトはまたも複数の雷を、次は位置やタイミングを変えて放つ。
そんな複数の魔法を前にしても、キリヤは動じず冷静に剣を振るう。
「『斬魔』」
前からの雷を剣を横に振り斬ったかと思えば、そのままくるりと後ろを振り向きながら、後ろの雷に対処。
上からの雷を縦に斬るついでに、前の雷を斬り裂く。
一切の無駄がない、軽やかな足取りで全ての雷を斬り裂いた。
「本当に何なんだよその剣!?」
ライデルトはやけになり魔法を放ちながら叫ぶ。
そんなライデルトの叫びの答えを口にするのは。
「『斬魔ノ
赤く長い髪を持つ、容姿端麗な少女。
フェルニーナ=フレイナだ。
「あの、フレイナ様。『斬魔ノ魔剣』とはなんですか?」
近くのクラスメイトがフレイナに質問する。
フレイナは、キリヤとキリヤの剣を見ながら解説を始める。
「『魔剣』その名の通り魔力を宿した剣。魔剣にはそれぞれ特殊な力、特別な魔法が備わると言われているの。それともう一つ、魔剣には意思が備わっていると言われている」
「意思、ですか?」
「そう意思。魔剣は生きているの。魔剣は自分の認めた相手以外にはその力を使わせない。無理に使おうとすれば逆に魔剣の魔力に飲み込まれて死んでしまうなんて話もあるわ」
その言葉にほとんどのクラスメイトが顔を青くする。
「けれど、逆に魔剣に認めて貰えば、もしくは認めさせれば、強力な力となる。それこそ王族だろうが、貴族だろうが、平民だろうが、魔力がなかろうがね」
クラスメイト達はキリヤを見る。
そのキリヤは今もライデルトが放つ雷の全てを切り裂いてい。
「そして、あの剣はそんな魔剣の中でも、『魔法を斬る』という力を持つ剣。私たち魔法を使いにとっては最悪で、彼にとっては最強の魔剣ね」
フレイナの解説が終わると同時にキリヤたちの決着がつく。
「チェックメイト」
「くそっ、くそっ、なんで俺がこんな魔力も無い剣士なんかに」
キリヤに剣を突きつけられ、無様に地に這いつくばっているライデルトの姿が見えた。
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