140字で紡ぐ世界

郷野すみれ

続かない物語の初め(朝)

 昔から朝が好きだった。爽やかな気分になれる気がして、朝日を浴びて朝の風に吹かれることのできる早起きは気持ちがいいものだと、思っていた。

 いや、正確には朝が好きというより、人に染められていないあの空気が好きだったのかもしれない。

 誰もいない体育館、まだまっさらで人の少ない校庭。なんとも言えない静謐な空気感。

 そう思っていたけれど。

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