第161話 日鞠ちゃんの涙

「……先輩。」


そう言った日鞠ちゃんの目には、涙が浮かんでいた。

……ん?今、涙って言った?いや、最近俺、女の子を泣かせすぎじゃない?……いや、さすがに気のせいだよね?女の子をたくさん泣かせているとか。この前の日鞠ちゃんのがインパクト高すぎて、そう思っちゃっただけだよね?うん。きっとそうだ。

そう、自分を洗脳した俺は、日鞠ちゃんにこう聞いた。


「大丈夫?」


泣いている時点で、大丈夫なわけないのだが、こういう時、なんて声をかければいいかわからない俺は、そういうしかなかった。


「先輩……先輩ひどいです。せっかく、せっかく先輩のこと、あきらめられそうだったのに。せっかく、先輩のこと、忘れられそうだったのに。」


……。

こういう時、どうやって相手を、慰めたらいいのか、俺にはわからなかった。

どうすればいいのかわからず、俺が困っていると、日鞠ちゃんは、涙をぬぐい笑顔を浮かべてこういった。


「先輩。これからは友達として、先輩の可愛い可愛い後輩として、よろしくお願いします。」


俺はその、日鞠ちゃんの言葉に対し、


「もちろん。」


と、そういうのだった。

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