第155話  そういえば、最近俺って……。

「ゆうくん、葵。今日はありがとね。」


夜8時、俺たち二人は渚ちゃんの家から、数メートル先の、俺と葵の家まで帰ろうとしていた。


「ううん。別にお礼を言われるほどのことはしていないよ。……困ったときはお互い様っていうし。」


俺がそう、渚ちゃんに向かって言うと、何か気に食わないことがあったのか、葵はわき腹をつねってくる。……渚ちゃんに見えないように。


「うんうん、ゆうくんの言う通りだよ。別に今回の件、なぎさは悪いわけじゃないんだし……気にしなくても、大丈夫だよ。」


『渚は』のところに、妙に力を入れていった葵さん。……これは完全に、俺に起こっていらっしゃる。……あれ?俺って最近、葵を怒らせるようなことしかしてなくない⁉回避できないことが、多いとはいえ。

あとでしっかり、葵に謝っておこう。そう思う俺であった。

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