海滅
青い空がありました。
白い硝子の雲が
切り裂かれて降り落ちてきていたので
カサをさしました。
あの時見た海の黒い囁きも
万華鏡越しに眺めたら
赤い目をした海坊主が
こちらにやってきたのです。
その双眼が とても怖くなって
逃げ出したら溶けました。
嗚呼 地が割れて吹き出した
淡い 光沢が
無常無価値と語りつつ
世界を滅ぼすのです。
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