暴漢

北海ハル

暴漢

 男が彼女を追い込む。


「さあ、もう観念するんだ」


 ​─────嫌。私が何をしたっていうの。

 彼女は今にも泣きそうな顔で男を見る。

 男は歪な笑みを浮かべ、ただ彼女を見つめていた。


「もういい加減逃げ回るのはやめるんだ」


 彼女の瞳が涙で濡れる。

 どうして。私は、私は本当に何も…していない。


「……​─────ッ!」

 不意に、男の手が彼女の腰へと渡った。

 徐に彼女の下着を脱がそうとする男に、彼女は抵抗をする。


 !!!嫌ッ!!そんなに引っ張らないで!!


「ほらほら、動いたら危ないよ」

 だがしかし、彼女の抵抗は全く男に届いていない。それどころか、男はそれすらも楽しんでいるように彼女を脱がせていった。


 嫌!嫌!!嫌!!!

 必死に抵抗を重ね、彼女の足が何かに当たる。

 それを見た男が声を漏らした。


「うわッ!…だから危ないって言ったのに」


 どうして……どうしてこんな事をするの…

 秘部が露わになった彼女は諦めたように力を抜いた。

 そしてただ、彼女の下着を持って嬉々としている男を見つめるのだった……。


 〇


「は〜い、綺麗になったね〜」

 夫がオムツを替えると言い出した時は心配になったが、どうやら杞憂であったようだ。

 当の娘はとても不満そうな顔で夫の顔を見ている。

 足に付いた尿を拭き取ってやり、娘はようやく笑顔になった。

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