完璧な準備とまさかの電話

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 いつもなら朝は忙しい。ドライヤーで寝癖を整え、さっとメイクし、とりこんだ洗濯物の山の中からいつもの下着、いつものシャツを掴み、ベッド脇に脱ぎ捨ててあるスーツの上下を身につけて、慌てて家を出る。

 でも今日は、早起きした。いつもよりも一時間早い。スーツは昨日寝る前にハンガーに架けておいた。ベッドの脇には着替えを入れた紙袋を用意した。これは職場で着替えるためだ。そう、今晩、仕事が終わったら、合コンがあるのだ。

 元カレと分かれてすでに一年。素敵な人はいないかとずっと探し続けていたけど、なかなか見つからなかった。そんな中、友達の窪川すうに、素敵な男性を紹介してもらえることになったのだ。久しぶりに巡ってきた絶好のチャンス。絶対に絶対に逃すわけにはいかない!


(続く)

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