第54話パワーリフティング閉幕
「それでは佐々木選手何から行きましょうか?」
「スクワット200kgでお願いします」
いよいよ俺の出番が来た。種目は何からやってもいいのでスクワットを選ぶ。特に理由はない。
『太郎君頑張ってください!』
『太郎先輩ファイトですよ!』
聞き慣れた声が観客席から聞こえた。そちらを見てみると最前列に凛と綾乃がいた。ありがたい限りだ。詩乃さんも司会に徹してはいるがきっと心の中では応援してくれているだろう。その期待に応えるべくスクワットに挑む。
「それでは佐々木選手。スクワット200kg挑戦してください!」
詩乃さんに促されてセットポジションにつく。
挙がらない重さではないはずだ。平常心。
大きく息を吸い止める。そのまま一気にしゃがみこむ。
おもっ!太ももに凄まじい重さを感じる。しかしここで負けては駄目だ。気合いで何とか起き上がる。
「ふぅ」
何とか成功だ。
「佐々木選手成功です!」
『太郎君かっこいいです!』
『先輩!良いですよ!』
観客席の2人も喜んでくれている。他の観客もざわついている雰囲気が感じられる。まぁ剛田さんに比べれば線の細い俺が同じ重さを挙げたのだ。驚かれても無理はない。
「佐々木選手次は何にしましょうか?」
「デッドリフト200kgでお願いします」
次はデッドリフトだ。ちなみに1番苦手な種目だ。一度ハムストリングを怪我してから重量扱うのを敬遠していた。
「それでは佐々木選手。デッドリフト200kgに挑戦です!」
先程と同じく促され、セットポジションに入る。
デッドリフトは簡単に言えば地面からバーベルをおへその下くらいまで持ち上げる競技だ。今までと違い地面から挙げるので初動が1番きつかったりする。
大きく息を吸い込み止める。そしてバーベルを一気に持ち挙げる。意外と楽に挙がった。
「佐々木選手。デッドリフト200kg成功です!まだ挑戦しますか?」
「いや、大丈夫です」
正直まだ挙げれるだろう。だが怪我がぶり返すのも怖いのでここは辞めておく。
まぁもう優勝は間違いないだろう。ここのデッドリフトが鬼門だったのだ。
「それでは最後ベンチプレス何kgに挑戦しますか?」
「170kgで」
「おおっと!ここで170kgが来ました。ここでもし佐々木選手が170kgを挙げれば合計570kgとなり優勝が決まります!」
『170は無理だろ』
『確か今までの最高が140だよな?』
『てか県記録超えてるんじゃね?』
観客からも無理だという声が聞こえる。だが俺はベンチプレスは自信があるのだ。挙がらない重さではない!
「それでは佐々木選手。ベンチプレス170kg挑戦です!」
先程と同じようにセットポジションにつく。重量を挙げるコツはしっかりとブリッジは作るのだが関節や骨は柔らかく使う。そして胸だけじゃなくて肩、腕、足。全てを連動させることだ。
大きく息を吸い込みバーベルを持ち挙げ、胸の位置まで下ろす。凄まじい重さがのしかかってくる。
やはり重い。だが挙げれるはずだ!体中の筋肉を使い何とかバーベルを挙げる。ぎりぎりではあったが何とか挙げれた。
「何とか挙げれた…」
「佐々木選手!ベンチプレス170kg成功です!」
『おおー!すげー!』
『かっけーな!』
『俺も筋トレ始めようかな!』
観客も喜んでくれている。
『太郎君おめでとうございます!』
『次はボディビルも取って2冠ですね!』
凛と綾乃の応援にも応えれた。
「太郎君おめでとう。かっこよかったわよ」
そして近寄ってきた詩乃さんが観客の歓声に紛れて小声で耳打ちしてくる。
「い、いえ。勝てて良かったです」
「ふふっ。これでボディビルも勝ったら特別賞よ。期待しておいてね」
何か意味深なことを言う詩乃さん。だが今はそんなことはどうでもいい。
耳元で微笑まないでほしい。くすぐったいし正直何か気持ちいい。
俺はこの日初めて自分が耳が弱いことを知るのであった。
次はボディビル!
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