第43話いつもの光景

「それじゃあ太郎君、詩乃さんの大学の文化祭で大会に参加することになったんですね」

「何か凄そうですね!さすが太郎先輩!」

「別に参加するのは凄くないだろ」


学校の昼休み。凛と綾乃と3人で文化祭でのパワーリフティングとボディビル大会について話していた。最近はこの3人で昼ご飯を食べている。最初はかけるもいたのだが気まずいと言う理由で別の友人のところに行ってしまった。ごめん。


「太郎先輩。さっきお話に出てきた詩乃さんって方はどなたなんですか?」

「詩乃さんは凛の幼馴染で大学生だな」

「そうじゃなくて太郎先輩との関係を聞いてるんです!」


俺と詩乃さんの関係と言われても困る。強いて言うならビジネスの関係?


「まぁいいだろそんな事は」

「良くありません!凛さん!どうなんですか!?」

「うーん。難しいなぁ。友達?って感じでもないですし…」


やはり凛も困っている。確かに友達というには何か違う気がする。


「もう!2人とも歯切れ悪いですね!分かりました。その文化祭わたしも行きます!そして詩乃さんと太郎先輩がどういう関係なのか見極めさせていただきます!」

「まぁ別に来るのは自由だと思うけど」

「太郎先輩!文化祭デートですね!」

「何言ってるんですか!私もいますからね!」

「えー。凛先輩も来るんですか?別に来なくても良いですよ?」

「行きます!」


まぁ喧嘩する程仲が良いってやつだ。この2人が言い合うのはいつものことだ。


『また佐々木のやつ。あの2人と飯食ってるぜ』

『本当なんであんなやつを…』

『まさか転校してきた後輩まで取るとは許せねぇ』

『せっかく1年に超可愛い子が転校してきたって聞いてワンチャンあると思ったのに』

『『本当羨ましい』』


こんな風に周りから嫉妬や怨みの視線を向けられるのもいつものことだ。もう慣れた。まぁ周りから見れば2人の美少女ときゃっきゃっうふふしてるように見えてもおかしくない。どうしてあんなやつとってなるのは分かる。凛はともかく綾乃が何を考えて俺といるのかは分からないから俺が聞きたいくらいだ。


「そういえば太郎先輩。この前の約束今日お願いしても良いですか?」

「約束?何のことだ?」

「もう。忘れたんですか?この前食事を作ったお礼に筋トレを教えてくれるって約束ですよ!」

「あーそういえばそんな約束したな」


忘れていた。今日か。今日は凛との合トレの日でもないし大丈夫だ。早めに済ましておかないと後々めんどくさいことになりそうだし別に良いか。


「大丈夫だぞ」

「やった!じゃあ放課後家行きますね!」


家でできることといえば自重になるだろう。だが自重を馬鹿にしてはいけないのだ。今日は彩乃と自重トレの日だな。


「太郎君?」

「は、はい」


今日の放課後のトレーニングに思いを馳せていると横からとても冷たい声がした。凛だ。


「部屋に行った?晩ご飯を作った?どういうことですか?詳しく説明してもらってもいいですか?」

「お、おう」


こうして綾乃との晩ご飯のことを詳しく説明することになるのだった。そしてなぜか今度凛も家に晩ご飯を作りに来ることになった。「それは不公平です!」とのこと。とても断れる雰囲気ではありませんでした。

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