大豆と小豆

 大豆が小豆の所にやって来て自慢した。

「豆腐に納豆に卯の花に油揚げやがんもどき、喉が渇けば豆乳にもなれる。かように僕は人の食卓を彩る事が出来る。それに比べて君はなんだい。甘味にしかなれないじゃないか。大は小を兼ねるとは正にこの事。この豆科の面汚し! 妖怪にでも洗われてろ!」

 小豆が応えて言った。

「確かに君の言う通りだ。けれど、君が変化したものを褒美に欲しがる人よりも僕が変化したものを褒美に欲しがる人の方が圧倒的に多いんじゃないかな?」


 多芸に秀でているからといって芸が少ない者を侮ってはならぬ、とこの話は説き明かしている。

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