彼との出会い
・・・僕が彼を最初見た時の印象は白が似合う人、そういう印象だった。
日に当たる髪が夜空の星のようにキラキラと白く輝き、瞳は薄い翡翠色をしており世に言う儚げな美少年とはこういう人の事なんだなと思った。
さすがにクラスに1人だけ堂々と白い髪を見て僕は入学早々髪を染めて華奢な見た目に反して、中身は肝が座った不良かと驚愕するしかなかった。
しかし、彼の様子や先生の態度を見て何か事情があるのだなと思っていた矢先、担任が彼は生まれつきなので真似はしないようにと生徒達にする説明を聞いた。
…今まで彼も大変な思いをしてきたのかもしれない。
そう思うと先程まで不良だと勘違いしていた自分が恥ずかしく、罪悪感が沸いた。
担任が説明をする際に何気なく彼の方に視線をやると、彼もこちらの方を見ていたようで少し目が合った。
気まずくなり、感じが悪いかもと罪悪感を感じながらも目をそらした。
小・中学校といじめられ、人見知りでクラスの輪にはいれないような僕にとって、誰よりも輝き目立つ存在の彼は卒業するまで関わることはほぼないだろう。
このクラスで一番地味な僕にとって彼は別の世界の人間だ。
何より高校では誰にも関わらず目立たず過ごしたい。
担任の話が終わりクラスのみんながちらほらグループ探しをしていたころ、僕は誰にも話しかけず、話しかけられず空を見ながらぼーっとしていた。
すると、「おい、三原。」
…あぁ、やっぱり話しかけてきたか。
これが僕の名前だ。
「お前は、高校生になってもぼっちなんだな」
こいつが僕をいじめるよう周りに仕向けていた張本人。
僕の従兄弟だ。
「なんで苗字なの?」
「お前みたいな陰キャと同類だって周りに思われたくないからさ!」
見下したように笑いながら言う。
だったら話しかけなければいいじゃないか…。
そう思ったが、いちいち相手にしていたらめんどくさそうなので少し俯き傷ついたフリをしておいた。
勝は何かにつけて喧嘩を売って来る。
子供の頃から僕の事が気に食わないらしい。
そのうえ、頭に血が上りやすく言い返しても無視をしてもめんどくさいのだ。
なのでこういった場合、こちらには歯向かう気がないと相手の自尊心を壊さないよう弱者の反応を適当にしておくのが無難なのだ。
「なあお前…」
勝がまた何か言いかけようとした時…。
ガタンッ。
誰かが勢いよく立ち上がった。
音がした方を見ると翡翠色とまた目が合う。
星川 翠こちらの方を凝視していた。
ん?僕の近くに知り合いでもいた・・・?
彼は自分に話しかけようとする人達に気づいていないのか見向きもせず、迷わず僕の側に立った。
周りがこちらに注目しているのが分かる。
え、僕???
もしかして目が合ったときに睨んだと勘違いされたか・・・?
いやいや、あの時彼を見ていたのは僕だけじゃなかったはず。
色々な考察が頭をよぎりながら焦る気持ちを悟られないよう顔の筋肉をキュッと引き締める。
「えっと、何か・・・?」
もし怒られれば丁寧に謝ろうと遠慮がちに質問し、彼の出方を伺った。
すると彼は、僕の机に両手を手を置き、翡翠色の目でまっすぐ僕をとらえると一言…
「・・・僕と友達になってくれない?」
女性と間違えてもおかしくない綺麗な笑顔でそう訪ねてきたのだ。
それもかなり美形の。
「・・・・・。」
僕は混乱した。
「「「・・・は?」」」
否、周りの人達の方が混乱していたのかもしれない。
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