満身創痍のヒーロー

「ここが、唐太くんが連れ去られた場所……!」


 そこは、町外れの工場跡地だった


「僕と美梨音は工場の前で仲間を待つ、閃音さんは、車の中で待機を………」


 ダッ!


「あっ!待ちなさ……!」


 私はいてもたってもいられずに飛び出して、ドアを蹴破った


 バンッ!


「唐太くん!」


 そこにいたのは



















「…………………………………ぁ」





















 血を流し続ける唐太くんの姿だった


「………………………唐太…………くん?」


「あん?………あぁ、この前いたガキか。なんだ?コイツを助けに来たのか?」


「…………………どうして、こんな………」


 ここまでやる必要なんて…………!


「ああ?!コイツはなぁ!一昨日と昨日と!2日間でこの街にある俺の傘下のグループ全て!潰しやがったんだよ!」


「………………………え?」


「おかげで隣町の奴らの下に付くようになっちまったし!メンバーの大半がコイツを怖がってグループを抜けてった!にも大目玉くらって、散々な目にあったんだよ!」


 私を助けた後の2日間で、コイツのグループ全部を潰したって、どうしてそんな事を……


「ハァハァ…………それにしても……お前をあの時拐わなくて正解だったよ」


「え?」


「俺はな?人が絶望する顔が好きなんだ、お前はあの時、絶望はしていたが、しきってはいなかった、まだまだ絶望する余地があると思ったしなぁ?お前、この男を好いてるみたいだから、拐ったら助けにくんだろうなぁと思ったのよ!」


「なっ……どうしてその事を!」


「お前がこいつの家の前にいる時からつけさせて貰ったぜぇ?」


 クソっ!もうその時点でこいつらは誘拐を企てて………!


「で、これから仕上げだ………いい顔で絶望してくれよぉ?」


「これ以上唐太くんになにかしてみろ!私がお前をぶっ飛ばしてやる!」


 もうこれ以上唐太くんは傷つけさせない!


「へぇ?お前が俺の相手してくれんのか………そりゃいい、ボコして負かして朝までぶち犯して絶望させて………」


「………………させるかボケがァ!」


 グシャッ!


「ぼがぁ!」


「え?」


「ハァ、ハァ、…………だから、言ったろ?俺はかーなーり強いってな………」





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