(9日目)バルサン・パチンコ

仕事帰りにバルサンを買い、急ぎ早に家に帰った。

焚く時は、電化製品はビニール袋などで保護しないといけないらしいが、たいして物がなくて助かった。

パソコンだけは玄関に避難させた。


噴射し、家を出る。


3時間ぐらいの空いた時間何をしようか迷ったが、近所の寂れたパチンコ屋へ向かう。

昔ながらの電飾で「パチンコ」ときらびやかに光るはずが、チの文字が暗く、パンコになっていた。


この店へ来るのは就職が決まったあと、この地に引っ越してきた日ぶりだった。

確かその日もガスの開通か、電気の開通か忘れたが、時間つぶしの為だった。


そんな事を考えながら台を選ぶ。

1万円札を財布から取り出し、お金を入れる直前に、『10円スロットコーナー』の文字が目に入る。

ここは20円スロットのはずだが・・・。


「ふざけんなよ!10円スロットなんて誰か打つねん!」


パチンコ屋が大騒音なのをいいことに、普段出せない大きな声で慣れない関西弁を叫んだ。


しかしよくよく店内を見回すと、10円スロットにしか客がいなかった。

そもそも、この一帯が本当に10円スロットなのか、よくよく考えると記憶が定かでない。

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