Episode 45 (6-4)

 同居するピエールが帰って来る二時間前。

 事前に少し遅く帰宅するという事を言われていた希和子は自分の勉強もあるため事前に作りおきをしていたおかず、お味噌汁と玄米を用意した。

「いただきます」

 テレビを見ながら食事をする。

 玄米はいい年をしているピエールの健康を思って、希和子が買い物で自主的にカートへ入れている。

 お味噌汁もおかずとして入れるには面倒な芋類の食材や根菜類を入れるように心がけている。

 希和子はテレビだけでなく、時間のある時間はアニメを見る事が多い。

 最近、気づき始めた。自分の好きなジャンルが特撮と戦う女の子、エッチな内容のアニメだった。

 特にエッチな内容と言っても、単純にハプニングを起こせばいいという浅はかなラッキーなような。批判的にいれば手抜きな展開。前々から展開が分かるような内容というのは好みではない。

 重要なのは、どのような意図でどのような気持ちでという事が見たいという女性的思考にある深い意味を含ませた展開が好みらしい。

異性との同居でそれは身近に感じるようになってきた。

 学校の数少ないアニメオタクからも女性らしい感想だと言われる事が多い。

「ごちそうさまでした」

 夕飯を終えた。洗い物をパッと済ませる。リビングで勉強を始めた。

「ただいま~」ピエールは仕事から帰ってきた。

 希和子は彼の音と声に気づき、リビングには来るのを気づいた。

「お帰りなさい。用意しておいたから、お風呂に入って来て」

 いつも通り、帰ってきたらすぐにシャワーを浴びるように言っている。

 なぜなら家の中が外の脂質やほこりまみれになるのが嫌だからだ。

確固とした証拠はない。気分的な問題でピエールが小さい時からそのような習慣がある。希和子も少々きれい好きなところがあり、帰って来たらすぐにシャワーを浴びる習慣が同居してから付いてきた。

 午後九時現在。

 閏間 希和子は同居するピエール・ド・アズナヴールの部屋に彼と二人っきりの状態となっている。

 ノックをして入ってきた希和子はピエールに話を持ち掛けた。

「あの、お話が……」

「なんだい? もしかして……、僕とただならぬ関係に……」

 ピエールは少々期待交じりの話し方をして希和子に言った。

「違います!」

 希和子は少々赤面しながら否定した。本題を話す。

「あの、休みの日に……、遊園地に行きたいんですけど……、どう、ですか?」

「遊園地? 久々だな~、もしかして、その帰りに僕と二人っきりで……」

 ピエールは再び、自分の欲交じりに言った。

「それも違います! なんですか、ピエール。欲求不満なんですか?」

 希和子は今日出会った付属陰光中学のアテナから遊園地へ遊びに行く誘いを受けた事を言った。

 自分は大学生、彼女達は中学生。

 実年齢や見た目の問題からまだまだ小学生と何ら変わりがない事から、何かあった時の保険として成人を何人か合同で回るのであれば問題無いとの事だった。

 そこで希和子と同居するピエールやチェン達を連れていき、日頃の疲れをリフレッシュしてほしいと希和子もこの考えに賛成した。

「保護者役ね。まあ、いいけど……。僕、希和子ちゃんの愛人とか、不倫相手とかの方が良かったな……」

「なんで私が本命とは別の人とつきあわなければならないんですか!」

 週末に計画している遊園地交流会なるものの準備を始めた。

 翌日、陰光大学教育学部付属陰光中学の二年い組。

 アテナは希和子との週末に遊園地へ出かける準備を部活の練習で来る事のできないミツキやトリンドル達を除く、文化部所属の生徒達で遊びに行く計画を進めている。

 アテナ、エレン、サーカは交流会のミーティングを行っていた。

「アテナちゃん、遊園地は決まった?」エレンが聞いた。

「うーん、遊園地……遊園地……」

 アテナは大学の学区内にある遊園地を調べているが、複数存在するためどこにしようか悩んでいた。

 一つは絶叫系が多いところ。二つ目は動物園と併設されている。三つ目は夢の国的な遊園地。

「皆どこがいいのか……。好みが分からないとなかなか難しいね」

 アテナは腕を組み天井を見上げる形となっていた。

「あっ。でも、今回、参加する中学生は皆絶叫系は好きよ」

 エレンは中学二年生なりたてにして絶叫マシーンが好きだという事に、驚きを隠せない顔をしていた。

「えーそうなの……。私、乗った事が無いけど……」アテナは恐怖を感じた。

「そのうち怖いものにもなるかもしれないし、一度だけでもいいから乗ってみるのはどう?」

 サーカからも、試しに乗る事も含めて進めてきた。

 アテナは渋々受け入れる事にした。

 希和子のメールを通じて今回の案にどのような反応があるのか知りたい。帰宅後に彼女と連絡を取った。

 希和子も高所恐怖症や乗った事が無いといいながらも、今回のお出かけをきっかけに一度は乗ってみようと反応があった。

 アテナは話の流れで、週末に会った年齢的には一つ下の希和子の話をする。

 閏間 希和子はピエールの家に居候している。この事はあまり公に話すと彼女やピエールの為にもならないと思う。詳しい生活については伏せて現在、大学生である事など簡単なプロフィールを話した。

「凄いわね。アテナちゃんより年下なのに、もう大学生。しかも、医学部……」エレンは感心していた。

「お友達がいないのは寂しいだろうから、私達が仲良くなってお友達にでもなる事ができればいいね」

 サーカも希和子との遊園地交流会を楽しみにしていた。

 帰宅後。アテナは計画を詳しく立てた。最終的に旅の栞なるものを作る事にした。

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