Episode ⅩⅣ (3-3)

 生徒達はサッカー、野球、バレーボールの三つの競技に分かれて試合をする。

 男女別々で競技は構成されている。

 チームは基本、クラスごとに分かれて構成されている。

 人数の足りないクラスのチームが発生した場合。低学年高学年の混合チームを作る事ができる。

 ひとクラスの男女比率は、ほぼ五対五の割合。

 一学級の人数の少ない中学は、一つのクラスに二つまでしか出場ができない。

 一年い組は、女子のほとんどがバレーボールに出場する。

 男子は中学二年と混合チームを作り、サッカーと野球に出場する。

 い組のクラスメイトである慧とトリンドル。そして、同じ競技に出場する仲間達と競技場所へ向かっていた。

さとるくんって、何に出るの?」

 トリンドルは聞いた。

「俺は、サッカーしか出られないよ。野球部員は審判とか」

「あっ、そっかー」

 現役の部員は所属する部活と同じ種目の出場は禁止されている。

「でも、この学校の試合ってレベルが高いんだよなー」

「水泳競技に無いけど、分かるー!」

 トリンドルは間接的に感じる生徒達のポテンシャルに共感する。

「部活に入れたくなるような人が大勢いるんだよなー」

「だよねー。でも、皆何かしらやってるからスカウトしようとしても上手くいかないんだよね」

 才能豊かな陰光生の才能や可能性は無限大に感じる。

 仲間達の目の前には、分岐が目の前に現れた。

 しばらく、応援できない仲間達の健闘を祈う。

「それじゃあ。またな」

「うん! 慧くんも頑張って」

 二人は帰りの会までの間。

 この身を熾烈な戦いに捧げる。

 バレーボールのチームは全体で十八チーム。

 決勝に進むまで四また五試合を戦い抜かなくてはならない。

 前回の優勝チームは高校三年ろ組だ。

 年齢や共に過ごしてきた時間には差がある。

 体育教師曰く。い組の授業内でほとんど互角だった。

 い組女子バレーボールチームは体育館に着いた。

 ミツキとアテナ。エレン達チームは横並びで前方のバレーボールの部という文字を見つめていた。

「いよいよだね。アテナ」

 ミツキは興奮一杯の深い息をして言う。

「そっ、そうだね……(あー不安だー)」

 彼女の心中を知るよしもない。

 脈打つ緊張感がアテナの体内に駆け巡る。

 彼女の反応に異変を感じたエレン。

「アテナちゃん、大丈夫?」

 心配し声をかけた。

「えっ。あっ、ゔ、うっ、うん……‼」

 人語なのか危ういテンションが言葉で分かった。

 序盤からチームメイト一人の精神が最低だと全体の指揮に関わる。

 エレンは少しでも良い状態でプレイをするために動く。

「アテナちゃん、両腕をあげて」

「へっ?」

 彼女の急な一言を疑う。

「いいから、あげて」

「はっ、はい……」

 アテナは何が起こったのは分からなかった。

 何が始まったのかと思ったら、内部進学した生徒にとってはお馴染みの展開だった。

 エレンは緊張を解す為の方法として一つの柵を持っている。

 何かと緊張する生徒を見るとただ一人。

 ラジオ体操第一をさせる。

 受け身側からすれば、させていただいていると思うエレン教信者も一部いる。

 アカペララジオ体操が終わった。

「はい! これで緊張解けた?」

「うっ、うん! とても清々しい」

 恥ずかしげもなく孤独なラジオ体操をした。

「バレーボール参加者は体育館に集まってください」

 体育委員のアナウンスに従い各チームは整列した。

 バレーボールの説明の後に再びラジオ体操第一する。

 第一試合。

 一年い組の初戦は中学三年と組。

 比較的におとなしい生徒が多い。

 相手の印象にチームは難易度が低いと感じる。

「これなら楽勝だね」

「でも、油断は禁物よ。どんな相手でも何をしてくるか、何が起こるか分からないわ」

 ミツキが油断している。

 エレンは彼女やチームに向け話す。

「チームの初戦。もう二度と試合がないと思って、戦いましょう。そして、い組の総合優勝に貢献しましょう」

「\\\\\\はい‼ //////」

 ルーム長がチームを鼓舞する。

「では、並んで下さい」

 審判席前で体育委員が両チームを集める。

 速やかに生徒達は集まった。

「第一試合を始めます。お願いします」

「\\\\\\お願いします‼ //////」

 審判員三人と両チームは礼をした。

 チームは配置に着く。

「試合、開始!」

 タイマーが開始のアラームを伝える。

 と組のサーブ。

 強烈なサーブが放たれた。

 ボールは宙に飛び、アテナに向けて落ちようとしている。

「アテナさんあげて」

「はい!」

 ボールは急カーブを始める。

 ミツキの方へ転回する。

「いっくよー!」

 彼女の片手は勢いよくボールへ当たる。

 一撃により、相手フィールドに落ちる。

 先制ポイントをゲットした。

 順調に点数を稼いでいく。

 二十ポイント差でい組が勝った。

 その後も、い組は相手チームを撃破していく。

 そして、決勝まで登りつめた。

 掲示板に表示されている中学い組対高校ろ組。

 トーナメント表の頂点を見る度に現実味が感じられなかった。

「わー。なっなんか、夢みたいだよ。こんな私がチームに入っていて、いいのかな」

「アテナちゃんがいなかったら、私は安定してアタックなんてできなかった。自信を持って」

 エレンは自信の無い彼女を労う。

「アテナちゃん凄いね。いざ試合ってなったら、どんどんボールに触れてる」

 トリンドルやチームメイトも活躍を絶賛する。

 決勝相手の高校二年ろ組は過去五年の成績で常に四強に入る。

 二年前には、女子バレーボール部門で優勝している。

「このチームはかなり手ごわい相手よ」

「そうなの?」

「アテナちゃんはまだ知らないと思うけど、このチームは去年の試合の準優勝チーム。決勝相手は三年ろ組だった。今回も勝ち残ってきたチームだから、なかなか厳しい戦いになると思うけど、ここまで残ってきた私達なら、きっと優勝する事はできる。私はそう信じるわ」

「そうだよね。私達がそんな簡単に負けるわけないよ。アテナ、今回も勝とう」

「うん!」

 一年い組女子バレーボールチームは最後の戦いへ向かう。

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