第50話 看護師なの

施設勤務をしていた時 施設の事を聞きたいと

杖をついて80歳代の女性の方が「散歩ついでに聞きに」いらした

少し離れたところに、この女性と一緒に来られたであろう施設職員さんがいる


施設に空きはあるか、自分は入ることはできるかと質問の次に

「私ね、看護師なの。今、グループホームにいるんだけれどグループホームで看護業務をしているの。いろいろ仕事を頼まれるのよ。ここでも仕事はできるわよ。」


看護の道でがんばっておられる大先輩への敬意をお伝えし、

「当施設は、緩和ケアとして末期のがんの方、難病の方、寝たきりの方が入ります。

身体の大きな方もいらっしゃるので、かなりの体力を使います。

グループホームのお仕事を頼まれている方が抜けてしまっては、グループホームが

大変になりませんか?同じ仕事をする者として、一人が抜ける大変さがわかります。

今のグループホームでの生活を、もう少し続けていただいた方がいいと思いますが、

いかがでしょうか?」


施設のパンフレットをお渡しして、一緒にいらした職員の方の近くまでお送りした


職員の方は、私の目を見て(対応してくれてありがとう)という感じで目配せして

「聞きたいことすべて聞けました?・・・・よかったですね。さぁ帰りましょう」と

二人で私に「ありがとう」と言って、帰られた


私の将来の姿を見ているような気がして、他人事ではないなぁと感じつつ

いつまでも看護師としての誇りを持って生きていけるのか・・・とも思った日





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