第21話 みっちゃん 1
さて、随分長い間私の面倒をよく見てくれていた友人たちなんだけど、初めに話した通り、集まるメンバーは徐々にその数を減らしていった。
いまだに昔のテンションのまま過ごせる関係を保っているのは、ゆうちゃんとタンタンと呼ばれていた二人だけなんだ。
静かで私の面倒を一番よく見てくれていたみっちゃんも、実は4年生の時に離れざるを得ない状況になってしまった。
その原因となったのが、前回の話で出てきた『もめごと』というやつなんだけれど・・・・・・。
実はみっちゃんは学校の中でも物凄く人気がある子だった。
色白で静かで大人びていて、少しユーモアもあるうえに、誰にでも分け隔てなく優しい。
私のような気性の荒いわけのわからない奴にも付き合える器のデカさまで兼ね備えている。
身長は低いし派手ではなかったけど、透明感のあるサラサラの薄茶色の髪が日に透けて凄く綺麗だったしね。
顔だってもちろん悪くない。
そんなみっちゃんを女の子たちが放っておくわけなんてなかった。
休み時間になると、全く別の学年の子たちまでもが、私のクラスに目をキラキラさせながら遊びにくるんだ。
そんな大人気のみっちゃんだったけど、女の子同士で彼を取り合ったりする修羅場にお目にかかることは一度もなかった。
同じクラスにナミちゃんと呼ばれている、中身も外見も悪いところなんてこれっぽっちも見当たらない最高の美少女がいて、この子がみっちゃんにべた惚れだったんだ。
私は休み時間は本を読んでいるか外で生き物の採集をしているからあまり気にしていなかったんだけど、それはもう誰が見ても一目でわかるほど、ナミちゃんはみっちゃんに熱烈な猛アタックをしていたらしいんだよね。
前の話で出てきたおっかない女の子は、このナミちゃんグループのうちの一人で、彼女の恋を一番に応援していた。
ナミちゃんに適うわけがないと思っている女の子たちが彼女を差し置いてみっちゃんに話しかけるようなことはなかったから、もめるようなことにはならなかったんだ。
ナミちゃんのグループの女の子は俗に言われるところのバリバリの一軍タイプということもあって、彼女たちを敵に回すのもみんな嫌だったんだろう。
だけど、みっちゃんときたら、全く思春期でもなんでもないもんだから、ナミちゃんの話に乗ろうとしない。
ただ笑顔で話を聞いているだけだったらしいから、ナミちゃんたちは次第にやきもきし始めてしまったようなんだ。
4年生にもなると恋愛の話も徐々に熱量を増してくる。
そのころになると、いい加減みっちゃんののんびりした様子に業を煮やし始めた彼女たちは毎日・・・というか休み時間のたびに、彼の好きな人を問い詰めるようになった。
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