人はそれを玉手箱と呼ぶ

maru

第1話:ターちゃん故郷に帰る

「ターちゃん、ほんとにこれでよかったのかな?」


 私たちは、光も音も、なにもない空間を飛翔している。返事がないので、寝てしまったのかな、と思いはじめたとき、私の背中に乗るターちゃんが優しくささやいた。


「もちろんだよ、オトちゃん。僕の最後の願い、かなえてくれて、感謝してる」


 きっと、そう言いながらターちゃんは、私からの贈り物をそっと抱きしめているのだろう。


「ターちゃん……」


 行く手の空間が、少しずつ光と音を取り戻していく。その先にあるのは、ターちゃんの故郷。住民たちが「地球」という名で呼ぶ、ちっぽけな星だ。

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