マジック
宝箱の中身は陳腐な剣だった。期待外れのカス箱だ。強化剤をシリンダーへ… ガキが手を掴む。
「離せ」
「いったんきゅうけいしたほうがいいとおもうの… めがおかしくなってるよ?」
「休憩は必要ない、手を、離せ!」
ガキの手を振り払い強化剤を… やめておくか、限界が近いのも事実だ。吉村と三井は剣を細かく調べている。ただの剣を見る顔じゃない、何かあるのかもしれん。
「まほうのけんってきいたことある?」
「何だ、それ」
「けんからほのおとかみずがでたりするの、だんじょんまじっくあいてむのひとつ!」
「マジックアイテム? 杖、剣、最後は何だ」
「まどうしょっていわれてる」
「物知りだな、ただのガキだと思っていたが」
「えへへ、てれるなぁ… 」
「貴方達もこちらに来て剣を見てください、不思議なものが見られますよ」
三井に誘われ剣を観察する、柄には妙な記号、刃を覆う奇妙な極彩色の光。本当に魔法の剣かもな。
「こりゃあ、価値が高そうな剣だな。誰が持っておく? 当然ながら三井はダメだ」
「わたし!」
「同意見だ。俺には擬似血管がある」
「私が一番上手く扱えますよ? 彼女では何もできないでしょう。それに、今貴方達を殺すメリットもない」
確かに今は殺さないだろう、だが、4階層に着いた後が問題だ。吉村が剣をパトリシアに手渡した。
「慎重にな、お嬢ちゃん」
「うん!」
「…せめて何かまともな武器を」
三井の言葉に渋々納得した吉村がスペアの斧を手渡した。小部屋を出て2階層へ向かう。電車の扉が自動的に開く。
「昔はただの階段だったらしいんだがな」
「ダンジョンは時代に適応するのですよ」
『2階層、巨人の居間へ参ります。揺れにご注意を』
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