クリスマス・イヴ



「はぁー。チキンもケーキもおいしかったね」



「そうですね。二人で食べるにはちょっと量が多かったように思いましたけど、あっという間に食べちゃいましたね。私お腹いっぱいです」



「僕も。ん、まだ、八時半か。今夜はゆっくりしようか」



「八時半ですか。もう寝ないとですね」



「?」



「じゃあ、私先にベット行きますね」



「え?」



「おやすみなさい」



「ちょ、ちょっと待ってゆきちゃん」



「? なんですか?」



「どうしたの?」



「どうしたって、もう寝る時間です」



「え? 恋人がクリスマスイヴを二人で過ごすんだよ? 八時半に寝るの?」



「そうですよ。私毎年クリスマスイヴは早く寝るんです」



「なんで?」



「早く寝ないとサンタさんが来ないからです」



「?」



「ほら、子どもの頃サンタさんが来てくれたじゃないですか。その時って、八時には寝てたんですよね。小さい頃からずっとそうだったので」



「えっと、つまり、今もサンタを信じてるってこと?」



「そうですね。大人になってから来てくれなくなったってことは、早く寝ないのが原因だと思うんです」



「サンタが来なくても早く寝るの?」



「はい。もしかしたら、サンタさんがここを通った時に私が寝てなくてプレゼントを渡せなかったってなったら、申し訳ないですよね。だから、早く寝ます」



「そっか……」



「ほら、侑希ゆうきさんも一緒に寝ませんか?」



「ごめん。僕はもうちょっと起きてるよ」


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