8月3日 これだから

 私、小学生の陸上クラブのコーチしてたりするんですよ。1年生の時からだからずいぶん長くなりました。教員採用試験がひと段落したので、やっと3か月ぶりとかに今年は参加でした。


 5、6年生の短距離を見て、暑いから日陰で休憩させてたんですよ。そしたらね、思わぬ出会い!




「タッチ!」


 思わず振り返ると、へへへ、って笑う中学生。このイタズラっ子、お前はまだイタズラっ子なのか。


「あーあ! 次は先生が鬼だね。久ぶり、大きくなったね」


 子どもの成長は感慨深い。目の前の少年と最後に会った時は、まだ競技場に雪が積もっていた。彼はまだ詰襟を着る前の、小さなランドセルを背負う少年だった。


 大きくなった。

 クラブのTシャツを着ていないだけ。いつも一緒に鬼ごっこをしていた、あの少年少女に会うことは無いと思っていたのに。


「陸上、まだ続けてくれてたんだ」


「オレ中学で砲丸してるんだ。これから教えてもらいにいくの!」


 小学生はかけっこが中心。それでも短距離、長距離、幅跳び、高跳び、ジャベリックスロー、、、専門種目はちょこっと。興味があるものは何でもできた。1個になんて基本は絞らない。


「砲丸か。素敵な種目選んだね」


 君が選ぶ道。君が選んだ未来。

 興味のあること、わくわくすること、全部やったら良い。極めてみる、それも素敵なことだ。


 大きく弧を描いて飛ばせ。力強く、君ならできるから。


「先生も若い世代に負けないようにしないとなー!」


「えー?? 忘れた頃に俺のことタッチしちゃう??」


「しちゃうかも」


 君の背に、まだ負けたくはないからね!

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