同個体存在
知的生命種の技術は進歩した…いや、進化した。
彼等はそれぞれの種族としての形、見た目上の形、機能上の形、精神上の形を維持しながら、彼等の価値観上でより美しく、より強く、より果てない存在へと技術を使い進化した。
彼等は知的生命種という枠組みの縁に手を掛け、ギリギリのところで踏みとどまり、知的生命種として自らを昇華した。
同個体存在。
同じ個体から複製した個体であれば、元の個体に存在している意識下で制御出来る存在を生み出す技術。
この技術が確立された事により、この宇宙に存在する知的生命種の、宇宙への進出と拡大速度は増速した。
一つの人格で複数の肉体を操る。
高度な技術や知識を保有する個体が、複数の身体を使用しそれぞれの種族・国家に利益を齎した。
どれ程離れていても一つの意識下の元で制御が可能。
この同個体存在の運用が為されて得た利益はこれだけではない。
同個体存在間の間では距離は無意味だ。
どれ程の隔絶した距離が空いていようとも、それを無視して一つの意識下で制御可能。
知的生命種はこの特性を活用してとある通信網を造り上げた。
同個体マイセリウム通信網。
この同個体存在という技術を確立するに至った大発見。
コウマクノウキンと呼ばれる菌類。
この菌類こそが知的生命種が初めて出会った同個体存在だった。
コウマクノウキンと知的生命種の利害が一致し、コウマクノウキンは知的生命種に自らを研究させた。
コウマクノウキンはその見返りに宇宙に版図を広げる。
そして、知的生命種は同個体存在を意識的に生み出す技術を確立した。
今やコウマクノウキンは知的生命種がいる場所なら何処にでも存在すると言っても過言ではない。
距離を無視した超長距離の通信に活用されているからだ。
そう、コウマクノウキンは自らの肉体を意思を知的生命種に活用させ、自らを宇宙に広めた。通信網という形で。
同個体マイセリウム通信網とは、コウマクノウキンの身体を封入した機材を使用した通信機器を用いた通信網だ。
さて、そんな同個体存在の活用方法は様々存在している。
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