拠点化 一

 兎にも角にもまずは資源の確保。

 強化アーマーの魔力ジェネレーターの出力上昇。

 重力魔法で周辺の土を攪拌し柔らかくした後、錬金魔法で土中に含まれる微量のメタル素材を分解再構成、同時に必要量の電導メタルも生成する。

 強化アーマーのジェネレーターで魔力を賄えるが、魔法行使が自分自身で行う必要があるからな、出力が大きい分制御が難しい。

 その辺りも強化アーマーにインストールされたスキルデータで補助されているけども、ごっそりスタミナというか、集中力を削られたな。

 さて、微量とは言え広範囲で集めれば十分な量のメタル資材を確保出来た、後は初期拠点の小型ファブリケーターを使用して、部品を創り出して組み立てるだけっと。

 出来上がった素材は順次組み立てて…、まずは発電機、風力と恒星光発電機と蓄電器。

 大昔は液体を利用していたという話だが、今は安心安全の全固体バッテリー。

 この蓄電器はこれから作る四脚型収拾機の充電器の役割も熟せる優れもの。

 さらに、この収拾機だけでは無く、小型で規格さえ合っていれば、様々な機械装置の充電器に使用出来る優れものだ。

 蓄電器をセット、風力と恒星光それぞれの発電機をセット。

 蓄電器と発電機の間に電導メタルを使用して作ったケーブルで繋げる。

 蓄電器のバッテリー容量をチェック、各種数値も問題なし。

 四脚型収拾機を充電用ソケットに接続し、充電開始。

 起動。

 モード設定。

 範囲は、拠点のマップデータとリンクさせて設定。

 よし、後は自動で周辺の資源を収拾されるのを待ちながら、蓄電器と発電機を増やしながら、次の本格的な資源調達が出来る装置を作れる分の資材が集まるのを待つだけっと。

 日も傾いてきたし今日はここまでにしよう。


 夜寝ている間も収拾機はせっせと働き資源を収拾していた。

 集まっていた資源は拠点近くにうずたかく積まれていた。

 朝起きて最初の仕事はこのメタル資源を錬成してメタル資材と電導メタルにする事から。

 そして、その資材を利用して錬金炉を二種類一つづつ作成、メタルと電導メタルを錬成する炉を設置。

 収拾機にそれぞれこの錬成炉に資源を入れるように設定して、後は放置。

 これで、資源収拾とそれを錬成して資材化するところまで完成。

 まだまだ、規模が小さいから集められる量はそれ程多くないけれど、これで自分で採取活動をしなくて良いところまで出来上がりと。

 後は範囲内の土中に含まれる資源が枯渇するまでここは放置だな。

 次は資源射出機とそのポートだ。

 これが出来れば、もっと高価なデータのライセンスを購入出来る様になる。

 そうすれば、もっと効率よく、惑星開拓が進められるようになるはず。

 さて、まだまだ日も高いし、探索してスキャンしてマップデータを広げていきましょうか。


 そこそこメタル資材に活用出来る種々の金属資源が地下にあるな。

 ミスリルも見つかったし、このまま此処を拠点化するに必要なだけの資材は十分あると。

 今回の探索で広げたマップデータを見ながら、今後のスケジュールをどうするのかを考える。

 ミスリル資源はそれ程多くないから、魔法機械はあまり導入出来ない。

 そうなると電力駆動の機械で拠点の作成をする必要があるな。

 ミスリルを使用した機械は、高性能化して拠点防衛用に使うか。


 次の日。


 まずは同期資材庫の作成。

 これを作成しないと遠方の資材収拾地で収拾した資源の運搬が面倒になるからな、忘れずに作成。

 名前は資材庫だけれど、勿論資源も入れられる。

 それから掘削収拾機。

 これで、地下深くに眠る資源の回収が出来る。

 さらに、魔素ジェネレーター・タイプ火魔法電力タイプも作成。

 それから運搬ドローン。

 運搬ドローンはこの拠点で集められて同期資材庫に入れられた資源を精錬炉に入れる為の機械。

 リンクした各装置の状態を見つつ、適切に運搬を行う優れもの。

 運搬ドローンを充填機にセットして、強化アーマーのインベントリに掘削収拾機と魔素ジェネレーターを入れ出発。

 目指すは最寄りのメタル資源が地下に眠るポイント。


 設置は滞りなく終わった。

 その帰り道、魔素汚染について考えていた。

 まず、魔素汚染とは何か?

 魔素とは様々な流動的な行動に発生する不可思議な存在。

 魔法を行使する際に消滅して魔法現象を引き起こす。

 この魔素というのは、意識の流れ、風の流れ、水の流れ等、ありとあらゆる流れから発生する無限のエネルギーなのだが、この魔素が多いととある問題が起きる。

 それがモンスターと呼ばれる、通常の動物相を完全に無視した存在の発生と、ダンジョンと呼ばれる特殊な空間の誕生だ。

 モンスターとは、ゴブリン・スライム等の今の技術であれば工業機械をぶつけるだけで対処出来る脆弱な存在から、ドラゴンの様な戦闘用機械を持ち出さなければいけない強力な個体が存在する。

 そして、ダンジョン。

 これは、特殊なダンジョン空間が発生し、そのダンジョン独自の特性によった様々な仕掛けやモンスター、資源が発生する場所のことを指す。

 一応空間中の魔素を収拾して魔力を活用するタイプのジェネレータを動かしているとは言え、それだけで発生した魔素全てを回収できるわけではない。

 どうしても、捉えきれず周囲へと拡散してしまう魔素が発生してしまうのだ。

 その結果、モンスターが生まれたり、ダンジョンが生まれたりする。

 今回地下資源収拾機を稼働させたことにより、大規模な資源確保が出来る様になったが、それと同時に、自分達を脅かしかねない存在に対処する必要性が出てきた。

 これにどう対応するのか、それが、私達惑星開拓者の腕の見せ所という訳だ。

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