ギルド  パワードスーツ ガイファント設定 〜組織の誕生と成長〜

逢明日いずな

第1話 ギルド


 ギルドは、誕生してから、約800年の歳月が経つ。


 冒険者から魔物のコアを買い取ることで、冒険者とギルドとしての関係が結ばれているが、ただ、魔物のコアを買い取るだけでは、ギルドは破産してしまう。


 しかし、冒険者に依頼の斡旋をするだけではなく、魔物のコアの買取を行なっている。


 依頼の仲介をする程度の金額だけでは、ギルドは、莫大な数の魔物のコアを買い取り、冒険者に生活を与える事は不可能である。


 何故、ギルドが魔物のコアを買い取れるのかは、魔物のコアに使い道があるからであって、買い取った魔物のコアによって、多大な利益を得ているからなのだ。




 ギルドは、召喚した魔物が、召喚者の命令をきくことを、発見した事で召喚した魔物を、農作業・鉱山・街道整備等の労働力として、提供することで、魔物のコアの、活用によって利益を得ている。


 その魔物のコアを使った召喚術の独占により、召喚した魔物の貸し出しや販売で収入を得ている。


 魔物のコアの利用方法については、ギルドが、その技術を独占している事でギルドが成り立っている。




 当初、冒険者は、国や軍の下請けとして、魔物の討伐を個人で行っていたのだが、南の王国に現れたジュールクエームのパーティーが、魔物を召喚させて意のままに扱う方法を見つけた事によって、魔物の利用方法が確立される。


 当初は、自分達のパーティーの戦力不足を補う為に使っていたのだが、そのコアを使った労働力の提供によって、農業や建築現場で大いに利用できたので、ギルドを設立し、魔物のコアによる、召喚された魔物の貸し出しや、販売で、ギルドの収入源として利用した。




 ギルドの誕生によって、討伐した魔物のコアの買取を行ってくれることで、冒険者に新たな収入源が出来たのだ。


 その事で、ギルドには冒険者が集まり始め、魔物討伐などを、ギルドは、国から一手に引き受け、また、民間からも商業馬車による移動の護衛などの、依頼を引き受ける事で事業が拡大した。


 特に魔物のコアの召喚術によって、魔物による労働力の提供は、農地の開拓に大きく貢献し、農業生産量が大きく上がり、南の王国の国力が飛躍的に伸びた。


 また、馬車を引く馬や地竜の代わりに魔物を使う商人も現れ出したことで、ギルドの召喚する魔物を労働力として使われるようになって、召喚された魔物の需要は飛躍的に伸びた。




 ジュールクエームは魔物の労働力提供によって得た莫大な利益を、魔法や召喚術の開発に当てる事と、南の王国付近に、時々、現れる転移者の保護に当てた。


 ほとんどの転移者は、その後、冒険者として活動しており、他のこの世界で生まれた冒険者と同様に冒険者となって生計を立てている。


 しかし、時々、ジューネスティーンや、ジェスティエンのような、新たな技術を発明してくれる者、そして、シュレイノリアのように魔法に対しての研究に長けた者が現れる。


 そのような、新たな技術を得ることもあるので、ギルドは、転移者の保護を行なっている。




 ただし、シュレイノリアについては、別格で、周りが、シュレイノリアの魔法に付いていけなかった事もあり、放置される事もある。


 ギルドの技術力以上の力を発揮する転移者も、今までに現れていたのかもしれないが、それを理解できる人が、ギルドにいなかった場合は、その技術を習得できずに終わることもあっただろうが、過去に、そのようなことがあったとしても、記録には残っていない。




 人は、自分の理解を超えた内容に付いて説明されても、理解できない。


 今、ここで、銀河系内と銀河系外の宇宙に存在する物質について、真実を話したとしても、誰も理解できなりだろうし、証明する手立ても無い。


 どんなに正しい事を伝えたとしても、それが、人の理解の範囲外のものなら、周りは、その話を笑い飛ばすだけなのだ。


 そんなギルドの理解を超えた転移者も過去には居たと思われるが、埋もれてしまった者も居ただろう。




 だが、時々、現れる転移者には、新たな技術がもたらされる事がある。


 天才的な、誰も理解出来ない理論だけの者だけではなく、この時代に合う転移者も居るなら、その場合は、有益な技術を得られる事になる。


 特に転移者の保護は、技術革新につながって、さらなるギルドの発展に寄与していると考えられているので、ギルドが設立してから、ギルドは、転移者の保護を行なっている。




 転移者には、完全な記憶が残っている場合は無く、断片的な記憶が、時々、浮かび上がる程度なので、大きく技術革新が行われる事は無かったが、その断片的な記憶を頼り、開発を補助することで、ギルドは、他国より、魔法や、他の技術が、ずば抜けている。


 ただ、国家としての権力より、転移者の保護を優先させた事と、この世界で生まれた、全ての人々との共存を考えた、ギルド創設者のジュールクエームは、国家となって謀略の限りを尽くして統一するより、国を超えたギルドを作る事で、国家間の争いには参加せずに済ませた。


 それもジュールクエームの無意識下の中にあった政治家としての性が、血塗られた統一より、交渉による和解によってなされたのだろう。

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