16、花
花はどうして上を向いて咲いていると思いますか
そんなバカなことを聞いてくるバカな女がいたな
無視してもよかったんだけど
あまりにもバカバカしくて
俺は相手をバカにしたように答えた
そりゃあ人の心を和やかにするためなんじゃないの
その女はそれを聞いてパッと顔をほころばせた
すごい
素晴らしい考えです
ゆっくりお話しませんか
満面の笑みでつきまとってくる女を無視して俺は歩き去った
そういえば最近は見かけなくなった
少しお時間ください
あなたのために祈らせてください
そういう奴ら
条例でもできたのか
それともその程度のことはスマホのアプリでできるようになったのか
あのバカな女
まだ十代くらいに見えたな
お前の頭の中がお花でいっぱいじゃないのかって言いたくなるような
こちらが引いてしまいそうになるような
邪気のない笑顔をしてたな
お前こそ大丈夫なのかと言いたくなるような
だからああいうことをしていたのだろうけど
なんにせよ俺には関係のないことだ
けど
たまにふと
あの女のことを思い出すのはなぜなんだろうな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。