10、食べ物

 獣の声をあげよ!

 捕獲し、その肉を食え。

 弱いものを捕まえ、蹂躙し、引き裂き、その肉を食え。

 なぜ食うのか。

 それは強くなるためだ。

 強い者は弱いものを食らわなければならない。

 なぜか。

 それは強い者の血を残さなければならないからだ。

 そうしなければ俺たちは滅ぶからだ。

 だから俺たちは闘って優劣を競う。

 最強を決める。

 そのために、食う。

 食って強くなる。

 強くなり、勝ち残り、最強の血を少しでも多く残す。

 最強の種を植え付けろ。

 多くのメスどもを孕ませろ。

 強い種をメスどもに植え付けろ。

 メスどもはそのための道具だ。

 奴らに選択権はない。

 そうやって俺たちは俺たちを残す。

 俺たちがこれまで残ってきたのは強い俺たちのおかげだ。

 敬え。

 ひれ伏せ。

 そして食われろ。

 俺たちを残すことがすべてのものに優先される。

 さあ食おう。

 獣の声をあげよ!


――カルテNo.850808672-150q

  2036.09.27

  自由国民未来党党首 大日本太郎

  支配的深層心理分析結果

  confidential

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る