迷宮国女王

 そのメイドじゃない方の女性はナオトと同じく日本人に近い見た目だった。


「イーリャも参加させてもいいかな?」

「構わないよ、元々彼女はシーラがそっちに行く前から君のメイドなんだから」

「ありがとうございます」


 隣で会釈するイーリャと呼ばれた女性を主であろう女性が呆れたように見る。


「全く、来なくてもいいって言ったのに……《本体は向こうにある》んだからそっち守ってほしかったのに」

「それなら問題ありません、シーラの弟子たちが貴方を守ってますから」


 淡々と、さも当然のようにイーリャさんは言い放った。


「それにしたって、手薄すぎない?」

「手薄……ですか? あれだけいれば、迷宮内で私達が駆け付けるまで何とかなると思うのですけど……」


 逆に今度は呆れたように主を見る。

 その光景は主従ながらも互いを敬っているような会話が見てとれた。


「それで? その子は?」

「こいつがサウル・ラットだ」

「お~、君がトラブルキャンサー君か~」


 え、トラブルキャンサー?

 問題感知器みたいに言われたのには流石にショックを受けた。

「初めまして……私の名前はサキ、迷宮国の初代主にして迷宮国建国者だ」

「僕の名前はサウル・ラット、魔法学院一法生です」


 互いに自己紹介を済ませた。

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