強がりな女の子
よく見ると彼女は、今にも泣きそうな表情をしていて、それを必死に抑えていた。
今にも泣きそうな顔……だが、彼女は泣くわけにはいかない。
強く生きると決めたから……先程の宣言、それはマックハート家という籠から出る為の言葉だ。
どの創作においても貴族というのは
というか、上の階級の者は盗賊や国家反逆は別だが、基本的に国に逆らう事は不可能なのだ。
何故ならその世界を運営し、作り上げているのはいつだって上の者だからだ。
逆らえば、這い上がれないどころか下手すると処刑されかねない。
誰でも命は惜しい。
弱肉強食……市民は血となり肉となり働き、貴族や王族はそれを喰う。
弱きものは強き者に食われる。
ならば強くなる側になるしかないのだ。
「セシアの判断は正しいと思うよ」
彼女の判断も、また正しい……。
今回はたまたまうまくいっただけで、本当ならどうしようもなくクレアに処理されていただろう。
「正しくなんかないわよ!!」
「セシアの判断も正しいよ……今回だって誰も傷つかなかっただけで、もし僕や君……他の仲間が傷ついたのなら、僕はきっとウェルサを助けたことを後悔したと思う」
僕は汚い言い方だが、人間に後悔などない。
選択にはほとんどの場合、後悔が生まれる。
今回は誰も傷つかず、ウェルサを救出できた。
その選択肢に後悔はないのだから、彼女が傷つく必要はないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます