制圧完了……そして……

「ナオトさん、こちらも終わりました」

「こっちも終わりました」

「こっちも終了じゃ」

 

 全員がカウンの分身を撃破した。


「すまん、本命は逃がした」

「……クゥか……」

「えぇ、申し訳ありません」


 この状況での事を察され、謝ることしかできない。

 また勝てなかった。

 これで何度目だろう。

 ハナは何度か撃退しているのに、僕は引き分けたままだ。


「奴なら仕方あるまいて……それよりこの後どうする?」

「二人と合流して残りの敵に対処します……三人は周りの警戒を」


 二人は今、薬の被害者に対応中だという。

 しかも愛娘はあり得ることだが、ハナも参戦するとは意外だった。

 それだけ重要なことなのかもしれない。


「あのハナさんが行くくらいじゃ、よほどの事なのじゃろう……気をつけてな」

「はい、追って連絡します」


 そう言って僕は通信魔法の電源を切る。

 さて……。


「さっきから見てきて何の用だ?」


 後ろから気配がするので声を掛ける。


「いやはや、さっきの戦いは見事だったな」


 如何にもお調子者という能天気な声で僕に言い放つ。

 ここに来る奴が普通なわけがない。


「何者だ?」

「名乗る必要はない……っと言いたいところだが、そうだな……とりあえず」


 不意打ちで魔法を放ったにも関わらず、彼は何事もなかったかのように起点を破壊し、無力化する。

 

「その攻撃をやめようか」


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