怪我の回復

 幸い、試合で外傷しかなかったのですぐに痛みは消え、小一時間ほどで動けるようになった。

 アリエはゼノンとの戦いで意識を失っていたが、運ばれて15分ほどで目が覚める。  

 

「カナ……」

「やっと起きたのです」

「ここは……」


 ぼんやりとした顔で辺りを見渡す。

 

「あぁ、そっか……私、負けたんだ……」

「まぁ、相手が相手だし、仕方ないと思うのです」


 落ち込んでいるアリエの頭を撫でて慰めている。

 

「う、うぐぅ……」

「泣かないで、次勝てばいいのです」

「……うん……」

 

 そうしてアリエは涙を拭って起き上がる。

 僕と目が合う。

 続いてセシアの方を見る。


「セシア以外は動けそうね」


 そう言うと、セシアの方へ向かう。


「カナ、彼女をおぶるの手伝って」

「ちょっと君、流石にこの子は……」


 近くにいた救護員が近づいてきてそう言うと、セシアが苦悶の表情を上げながら

起き上がる。


「だ…い…じょ…うぶ……です……」


 そう言うと、必死に置き上げろうとする。


「乗る?」

「あ……り……が……とう……」

 

 カナは起き上がろうとするセシアのサポートをする。

 アリエはセシアをおぶると、ドアへ向かう。


「皆の所に行くわよ」


 背中越しにいうアリエについていく僕だった。

 

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