106話 VSミリス

 僕らの試合が最初なり、壇上に立つ。

 

「私、負けないから……」


 覇気の籠った声でいう。


「僕だって負けません……!」

 会場は先程とは違い、観客が増えていた。

 たくさんの視線が僕らに集まっている。


「準備はいいですか?」


 カエラが言うと僕らは頷く。


「それでは、予選決勝第一試合、アルス学院サウル対ミリス、両名の試合……はじめ!」


 ミリスは魔法を発動する。

 

いずち!」


 雷の魔法が発射しそうと同時に地面を踏む。

 錬成魔法と強化魔法の混成技。

 魔法は土の壁に当たり、地面に刺さっているから電気が地面に流れて霧散して何事も無かった様に消える。

 僕はミリスに水球を何度も放つ。

 

「そんなやたらめったら打っても私には当たらないよ!」


 ミリスは風魔法で水を払い除ける。

 

「それに、雷で感電させようって作戦なら無駄よ」


 ……バレてる。


「さて、奥に手は使いたくなかったけど、君じゃあ仕方ないね」


 そう言うと彼女は両手を広げる。


「右手に風の刃、左手に雷……錬成、完了……」


 ミリスがそういうと、丸みを帯びていた風と雷の球が変形し、彼女の両指の形になっていた。


「さて、君も奥の手を出してよ……」


 さも当然と言った顔で僕を見てくる。


「奥の手か……残念ですが、魔法戦で使える物ではないんです」

「……そう……」

 

 ミリスは右手を前に出す。

 そして指を弾こうとした瞬間、思考より先に身体が動いていた。

 そうして弾く音がすると、後ろの方で大きい音がする。

 見ると風の球のようなものを放った跡があった。


「あれ避けるか〜」


 ミリスは嬉しそうな顔をする。


「なら、これならどう?」


 そう言って人差し指を僕に向ける。

 

「これ、長く持たないから本気で行くよ!」

 

 そう言うと雷と風が収束していく。

 みるみるうちに大きく、そして精密な球が出来上がる。


「……


 一直線に僕にゆっくり向かってくる。

 回避は不可能……か……それなら!

 魔法の壁を作る。


「そんなものじゃ、これ止められないよ」


 止める気なんてない、少しの時間さえあれば何とかなる。

 雷砲がぶつかる。

 魔力障壁で直撃を避ける。

 

 魔力、解析……完了……綻び……発見……。


 一点集中して雷を放つ。

 当然、威力が勝てるわけもなく、押し負けるが、雷砲の球体に亀裂が入る。

 そして、あたりに雷を撒き散らして消える。


「う……そ……」


 僕が壊したのの驚いたのか一瞬隙ができる。


「鎖よ」


 そう言って魔法で鎖を出現させる。


「しまっ……」


 反応しようとしたミリスだが、遅れてしまい、捕まる。


「僕の……勝ちです……!」


 そう言うと、僕の勝利が決まり、会場が湧きあがったのだった。







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