65話 魔法

 昼食を終えて今は魔法講義だ。

 正直、眠たすぎる。

 魔法の基礎も基礎の魔法の種類を行なっている。

 流石に知っていることだと聞く気がなくなってくる。

 ふと、窓を見るとミナが外で授業を受けていた。

 どうやら体術の授業のようで、相手は会長のようだった。

 お互い構えて戦う。

 ミナが連続右手パンチを繰り出し、ルミリナは必死に避けている。

 早くて同時にあるのかと思えるほど、早かった。

 あの戦い方はミリーが編み出したと言われる体術だ。

 ミリー曰く、「魔法唱えながらできるから便利〜」 で編み出したそうな……。

 ルミリナは慣れてきたのか、合間をぬいながら反撃している。

 徐々にミナの攻撃が減っていく。

 互いの攻防が続いている。

 すげぇ〜。


「「すげぇ〜」っじゃありません」

「すみません」

 

 帳簿で叩かれ、横にいる教師に謝る。


「ちゃんと聞いてくださいね」

「はい、申し訳ありません」


 教師は歩いて行く。

 歩いている間にもう一度見ると、2人とも握手をしていた……ん?

 その横の端にこの間、セシアと話していた男の仲間の少女が何かをしていた。

 埋めてる?

 しかし、明らかにミナ達の見える位置で黙々と埋めている。

 見えてないのか?

 いや、見えない筈が無い……視界に入る位置なのだから……。

 そう思っていると少女と目が合う。

 少女は驚いたように、白銀の綺麗な瞳が見開くと同時に視界が回る。

 しばらくして背中に痛みが走る。

 叩きつけられ、目を開けると教師エミスが眼鏡を押さえ見ている。


「直ぐにまたやるなんて、喧嘩売ってるの?」


 必死に謝ると、授業のチャイムがなる。


「はぁ、今日はここまで……今度小テストですから、きちんと勉強しておくように……いいわね? ラット君」

「はい……」


 そういうと、エミスは教室を出て行く。


「馬鹿じゃないの?」

「面目次第もない」

「まぁ、ミナ様の戦いに見惚れるのはわかるけどね」


 気づいてたのか、流石〜っというか僕だけ怒られるのは理不尽じゃね?

 

「ねぇ、見てたならわかると思うんだけど……師匠の近くにこの前セシアが話してた男の家族の1人居なかった?」

「いるわけないでしょ……この学院は立ち入り禁止でこの紋章を持たない者は察知できるもの……」


 再び「馬鹿じゃないの」っというと、何処かへ行ってしまった。

 気のせい……なのかな?

 そう思いながら選択授業に向かった。

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