50話 無粋

 目を開けると、セシアが仁王立ちして見てくる。

 年齢の割に大人のパンツが視界に入る。

 

「私の勝ちね……」


 黒か……。


「貴方は私より弱いの、わかった?……ねぇ、聞いてるの?」


 不思議に思ったセシアは視線の方を見ると、自分のスカートに向けられているのに気がついたのか、顔面をもうとする。

 

「どこ見てんのよ! 変態!」


 踏まれるのをかわすと、すぐに蹴りがとんできた。


「ぐふぅ!!」


 魔力を込めたのか、激しい痛みが顔に走る。

 後ろに吹っ飛び、壁に激突する。


「いってぇ〜」


 何とか起き上がり、セシアの元へ歩く。


「不可抗力じゃない?」

「うるさい!」


 顔を真っ赤にして見ていたが、深呼吸して続ける。


「私の勝ちってことでいいわね?」

「えぇ、今の僕じゃ勝ち目がありません……完敗です」


 対策考えないとなぁ〜。


 魔力を纏った武器の対策を考えないことには、勝てない。


「あ、そう……わかってるならいいわ」


 セシアはその場から去っていく。

 上には上がいるとは思ったが、まさか同年代に負けるなんて思ってもみなかった。

 魔法ができるとは言っても、まだまだ弱い。

 これじゃあ、魔聖には程遠いなぁ〜。

 魔聖とは、世界に一人しかいない魔法を極めし者に与えられる称号。

 そのほかにも武器を極めし剣聖やあらゆる知識をもち、未来視さえ出来ると言われる賢聖の三聖がいる。

 三聖はこの世界に危機が訪れると現れ、この世界の守護者としてその名を石碑に刻んでいる。

 しかし、伝承故に三聖を見たものはいないと言われている。

 三聖の名前は、

 剣聖 クロ

 魔聖 クゥ

 賢聖 ハク


 この3人はずっと変わらずに、最強の名を石碑に刻まれている程に圧倒的なのだ。


 これから頑張らないといけないな……。

 そう思いながら、訓練場を後にするのだった

 


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