革命教師X

黒巻雷鳴

プロローグ

 ここが今度の学校か……。


 今朝は電車に乗り遅れてしまい、ショートホームルームの開始時間にはもう随分と過ぎてしまっていたが、あたたかな陽射しと春の香りを含む微風そよかぜが赤煉瓦の校門で私を出迎えてくれた。

 歩きながらそのすべてを確かめるように、学園の敷地内へと踏み込んでいく。

 教室の窓が開いているのか、校舎のほうから生徒たちのにぎやかな声が聞こえてきた。

 すると、すぐそばにエナジードリンクの空き缶が勢いよく飛んできて地面に跳ね返り、私の足もとでクルクルと回ってから止まった。

 顔を上げ、どこから投げられたのか軌道をたどる。

 三階教室の窓辺に立ち、笑顔を向ける一人の男子生徒と目が合う。

 こちらもほほむと、彼は右手中指を立てて自己流の挨拶を返してくれた。


 フフッ、おもしろそうじゃないか──。


 新しい学園生活が今、始まろうとしていた。






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